外国人派遣社員 育休給付を遡及 / 全労協新聞 2020年12月号

外国人派遣社員 育休給付を遡及 / 全労協新聞 2020年12月号

 


 

静岡県共闘(遠州連帯ユニオン)

外国人派遣社員
育休給付を遡及

 

 フィリピン人派遺社員Aさん(男性三八歳)が、三カ月間帰国した時の会社の取り扱いについて報告します。

 Aさんが帰国したのは、四力月前に生まれた子どもの顔を見るためでした。Aさんはそれまで七年間、この派遺会社に勤めていましたが、有給休暇は取得したことはなく、その時も有休取得を申し出たにもかかわらず与えられたのは三日だけでした。再び日本に戻った時、今までの職場に戻れただけでも儲けものという感じでAさんは仕事を続けました。

 さて今春、このコロナ禍でご多分に漏れずAさんは解雇となったのですが、その際、いろいろと状況を整理していたら「Aさんには育児休業給付を受給できる条件が整っているのではないか」ということに気がつきました。

 ご存知のように、育児休業は母親ばかりではなく、父親も取得することができるのです。したがって育児休業給付も受給できるのです。給付申請の条件に合致するか、Aさんに事情を確認して資料をもらい、解雇撤回の団体交渉時に、給付申請協力を要求事項として会社に提示しました。

 解雇の撤回こそなりませんでしたが、過去に遡る育児休業申請(給付申請)への協力は獲得しました。結論から言えば、Aさんは三カ月分の育児休業給付受給が認められ、相当なものを受け取ることができました。外国人(特に派遣社員)は、しばしば長期間帰国することがありますが、有休は取得できない、雇用を切られるということが当たり前にあります。

 しかし、子どもの誕生などのケースでは、このような雇用保険に加入していることが必須とはいえ、ある程度の収入も保証された制度を使うことかできるのです。育児休業給付は二年間遡って申請できますから、外国人にこうした認識を広めて見るのはいかがでしょうか。

(『ゆにねっと通信・静岡』より)