20条裁判 最高裁弁論 郵政産業労働者ユニオン / 全労協新聞 2020年10月号

20条裁判 最高裁弁論 郵政産業労働者ユニオン / 全労協新聞 2020年10月号

 


労働契約法20条裁判 最高裁弁論


 

郵政産業労働者ユニオン

 

 郵致ユニオンに所属する非正規社員が正社員との労働条件の格差是正を求めた労働契約法二〇条裁判の弁論が九月十日、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)で開かれました。弁論には西日本裁判から十人、東日本裁判から九人の弁護士が出席しました。郵政ユニオンはコロナ禍での弁論ということもあり、傍聴支援は首都圏の組合員に限定し、他労組への要請を行いませんでしたが、五十人を超える参加がありました。

 最高裁上告の受理・不受理の決定により、審理の対象となった①年末年始勤務手当、②扶養手当、③夏期・冬期休暇、④有給の病気休暇、⑤年始の祝日給の五項目で弁論が行われました。その中には、原告が最も不合理性を訴え、是正を求めてきた賞与は受理すらされず、「門前払い」され、高裁判決が「合法」と確定されました。郵政における著しい格差の実態に目を向けず、非正規社員の切実な訴えを取り上げなかった最高裁決定の不当性は厳しく糾弾されなければなりません。

 弁論では東西とも被告・会社側がまず弁論要旨を読み上げました。会社側の主張は正社員の「長期雇用のインセンティプ」(有為人材確保論)を繰り返すだけであり、傍聴した原告の一人は「今更こんなことを延々と語るのか」と呆れていました。

 組合側の弁論は西から五人、東から四人の弁護士が発言しました。西の総論を担当した森博行弁護士は会社側の主張する「有為人材確保論」が先のハマキョウレックス事件最高裁判決で採用されなかったこと、「将来の役割期待」といった「主観的又は抽象的な説明」ではなく、客観的及び具体的な実態に照らして判断すべきであると反論、主張しました。また、大阪高裁判決において何らの根拠もなく、裁判長の「気まぐれ」で持ち出された「五年基準論(雇用期間が五年超の場合は不合理、以下の場合は認めず)」に対しては、各弁護士が担当した項目で旧労契法二〇条とは全く無関係であり、非正規社員の処遇改善をめざす法の立法趣旨を逸脱するものであると厳しく批判しまレた。東日本の総論では水口洋介弁護士が二〇条成立の背景を述べ、このまま正社員と非正規社員の分断と格差を放置すれば、非正規社員の労働条件がさらに劣悪化し、社会保障の持続可能性さえ損なうと事態に直面すると訴え、最高裁が二〇条の立法趣旨を踏まえて非正規社員の均衡・均等侍遇を実現する判決を下すことを求めました。弁論は終始、会社側を圧倒しました。

 しかし、弁論がそのまま判決につなからないのもまた、事実です。現に賞与の不当な決定がすでに行われました。

 弁論で結審し、最高栽判決は東西とも十月十五日(木)、十五時に決まりました。たぶんもう一つの佐賀局事件・福岡高裁判決も同じになると思います。
 裁判提訴から約六年半、十一人の原告、弁護団と一体となり、郵政ユニオンはたたかいぬいてきました。地裁、高裁で一つひとつの成果をつみ重ね、着実な前進を勝ちとってきました。最高裁の判決は予断を許しませんが、現行の不合理な格差を容認する就業規則労働協約を変更する、否「せざるを得ない」判決は必す下されるものと確信しています。最後まで「正義の判決」をめざしてたたかいます。こ支援をお願いします。十月十五日の判決に注目し、そして最高裁に結集してください。判決後、議員会館で報告集会を行います。

(郵政ユニオン中央執行委員・20条東日本裁判原告浅川喜義)