全国一般全国協宮城合同労組雇い止め相談電話交渉で撤回 / 全労協新聞 2020年7月号
コロナ禍に地域・職場で奮闘する全国の仲間たち
全国一般全国協宮城合同労組雇い止め相談電話交渉で撤回
コロナ関連の労働相談の共通項は、「感染防止のため休業したい、しかし生活はどうなる」ということであろう。コロナ以降、入電(問い合わせ)件数が平時の二〜三倍に増えた。
仙台市内のコールセンターに勤務する女性契約社員から、「咳が出て体調が悪い。コロナかもしれない。しかし会社に知らせても、休ませてくれない。休むなら辞めてもらうしかないとさえ言われた。とても悩んでいる。」という電話相談があった。
コールセンターは「在宅者が多い今こそ営業のチャンス」と語られる一方、職場環境は「三密の極み」だ。詳しい状況を聴き、自己都合にされたとしても休むことが自分のためにも同僚たちのためにも唯一の選択であると話をした。
さらに生活対策としては、健康保険の傷病手当金を申請して受給する手続きを説明した。療養のため労務に服することができなくなった日から起算して、三日を経過した日から労務に服することができない期間を対象として、標準報酬の三分の二が手当金として受けられる。手当金は退職しても継続される。労働者自身と周りの人びとの生命の防衛、生活の防衛を第一に考えなければならない情勢と言える。
今年四月一日から仙台市の会社に採用された五〇歳代の新規採用者から、一度も出社することなく自宅待機を命じられ、賃金がどうなるのかわからないという内容の電話相談があった。
詳しく聞くと、休業手当のもととなる平均賃金を計算する基礎になる「過去三カ月の賃金」がないので手当が出せないかもしれないと言われたということである。感染防止のため、使用者の判断で新入社員を休業させたからには休業手当を支払わなければならない。一度も労働日のない労働者の休業手当は特別の計算方法があるので、労基署に問い合わせて確認するように話した。
今の時期は丁度、毎年の契約更新時期に重なる。中にはコロナ不況を予想した雇い止めと思われるものもある。今年一月までは「空前の人手不足」の労働情勢であり、三月から四月に至る有期雇用労働者の契約更新も無難に行われるはずだった。雇い止めの相談に対して団交を申し入れたところ、仙台〜東京間の電話交渉ですぐに撤回にこぎつけた中堅パッキング会社の例もある。
宮城合同労組は今、コロナで団交できないと言うのなら、電話交渉でもいいという立場をとっている。最近東京本社の保険会社の団交申し入れ書に「やむをえない場合に限り、電話団交を申し入れてください。検討して回答します」と添え書きしたばかりである。
労働者は毎日、感染不安と生活不安のさなかにいる。定員ぎりぎりにされてきた医療、介護の組合員たちは施設自体休業することができず出勤している。
ことさら日本株への潤沢な資金供給を宣伝する安倍政権と労働者の環境との落差、格差が目立ちすぎる最中で労働相談活動を今、行っている。
(宮城合同労組委員長 星野憲太郎)