京都府議会/ 新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書

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京都府議会

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新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書


新型コロナウイルス感染症対策については、国が緊急事態宣言の対象地域を全国に拡げ、その期間を5月31日まで延長したが、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3つの基準に照らし、5月25日には全都道府県が解除されたところである。


国民が感染拡大の防止に努めてきた行動の結果といえるが、これまでの様々な活動の自粛等に伴って、中小企業・小規模事業者、観光業従事者や農林漁業者等が厳しい環境にさらされている。また、緊急事態宣言の解除に伴い、社会経済活動が本格化することで感染者が増加に転じることも懸念されることから、感染拡大の第2波、第3波の発生防止を図りつつ、仮に発生した場合でもその波をできる限り小さくするよう、万全の備えを固めていく必要がある。


ついては、国におかれては、引き続き地方公共団体と連携・協力し、「感染症拡大防止対策」と「社会経済活動」とのバランスを取りながら、各地域の実情に応じた対策を一層推進していく為、次の事項について迅速に取り組まれるよう強く要望する。


1 緊急事態宣言の解除に伴い、感染症対策の長期化も想定した「新しい生活様式」等の普及を促進し、国民の行動変容の為の積極的な対策を実施すること。併せて、厳しい経済状況が続く中、生活に困窮している国民に対する各種支援策の周知と迅速化、更なる拡充を図ること。
また、感染者やエッセンシャルワーカー等へのいわれなき差別や分断を煽る動きを注視し、正確な情報発信と的確な対応をとること。併せて、様々なメンタル等、多様なサポート体制を充実すること。


新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することを見据え、「地方創生臨時交付金」及び「緊急包括支援交付金」については、地域の実情に応じた事業を都道府県の判断により実施できるよう、自由度の高い制度とすると共に、予備費1.5兆円の充当及び第2次補正予算の飛躍的な増額を行い、早期の予算成立に努めること。


雇用調整助成金の上限額を遡って15,000円に引き上げるとともに、休業手当を受け取ることができない休業者への給付及び失業手当の給付額についても同程度の水準で行うこと。また、持続化給付金の売上減少要件の緩和や今年創業した事業者やフリーランス等への給付対象拡大など、必要とする人や事業者に分かりやすく、速やかに行き渡るよう充分な対策を講じると共に、解雇などの
雇用問題に万全の対策をとること。


4 中小企業等の経営圧迫要因となっている家賃・リース料など固定費の負担軽減や、納税の猶予を実施し、甚大な影響を受けている宿泊業、旅行業、飲食業等に対し、厳しい地域の現状に即した抜本的な経営支援策を講じること。また、中小企業等の返済猶予や返済期間の延長、金利の減免などの条件緩和要望に誠実に対応することを金融機関に求める立法について検討すること。


新型コロナウイルス感染症特別貸付の無利子制度融資上限額(3,000万円)は、実態としては、中堅中小企業の資金需要に応えられていない為、民間金融機関における無利子融資の上限額を、日本政策金融公庫における中堅企業向け融資と同額の1億円に引き上げる新制度を創設すること。


6 移動の自粛により、公共交通機関の経営が極めて厳しい状況にあり、需要回復に至るまでの減収に対する補填措置及び不特定多数と接する従事者の安全確保と感染拡大防止のための支援策を講じること。


7 活動の縮小や停止を余儀なくされている文化芸術関係者を支援するための基金を創設すること。また、劇場等において、顧客減や収容人数減等で十分な収入が確保できない技術スタッフを含めた関係者に対しても支援すること。


8 今後の地域医療を守り、医療崩壊を防ぐ為、医療機関等への支援を行うこと。また、中堅中小企業に当たる医療機関に対して、経済産業省が行う経済対策としての融資とは別立てで、所管する厚生労働省において緊急特別融資枠の拡大を行うこと。
更に、日本政策金融公庫や独立行政法人福祉医療機構による融資に限らず、既に取引実績のある金融機関でも速やかに融資が受けられるような仕組みを構築すること。


9 今後予想される感染拡大の第2波、第3波への備えとして、ワクチンの早期実用化に向けた大胆な資金投入、医療資機材の安定的確保と需要を見極めた的確な配分調整、PCR検査や疫学調査の体制強化、感染爆発に備えたICU等病床の確保、重症患者受入体制の構築、有効性・安全性を確認した適応外薬の提供など、更なる対策の強化を行うこと。


10 介護・障害福祉サービスの事務所に対する「サービス継続支援事業」を抜本的に拡充し、感染予防の取組を行いつつ弾力的にサービスの提供を継続する介護・障害福祉施設・事業所に対する支援策を拡充すること。また、貧困やDVを含む暴力等の様々な課題を抱えている方に対し、SNS等を活用した相談支援体制を強化・拡充すると共に、医療機関とも連携の上、安心できる居場所や一時的に保護できる場所を確保すること。

 

11 学校休業の長期化により生じた学力機会の格差を是正する為、ICTやテレビを活用した学習の実施、カリキュラムの見直し、大学入試試験の特例措置など、子どもの視点に立った最善の学習機会の確保に向けた対策を講じるとともに、困窮する児童・生徒や保護者に対する支援を充実すること。また、学校の再開に際して、新しい生活様式の導入により教員不足が生じることから、速やかに教員や指導員などの人材確保を行い、学びの機会を保障すること。


12 大学、専門学校等の休校や入校禁止、オンラインの授業等への負担に加え、学費負担やアルバイトができず生活への深刻な影響もでており、全ての学生を対象とした学費負担軽減や緊急の給付金の措置、奨学金の拡充や返済減免等を行うこと。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和2年5月27日
衆議院議長 大 島 理 森 殿
参議院議長 山 東 昭 子 殿
内閣総理大臣 安 倍 晋 三 殿
財務大臣 麻 生 太 郎 殿
総務大臣 高 市 早 苗 殿
文部科学大臣 萩生田 光 一 殿
厚生労働大臣 加 藤 勝 信 殿
農林水産大臣 江 藤 拓 殿
経済産業大臣 梶 山 弘 志 殿
国土交通大臣 赤 羽 一 嘉 殿
内閣官房長官 菅 義 偉 殿
内閣府特命担当大臣 西 村 康 稔 殿
(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣 北 村 誠 吾 殿
(地方創生)

京都府議会議長 田 中 英 夫

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