全労協/ 女川原発再稼働に同意するな! / 新聞 2019年11月号

全労協女川原発再稼働に同意するな! / 新聞 2019年12月号


 さようなら原発女川原発・東海第2原発

 

女川原発再稼働に同意するな!

 

十一月十二日、石巻市民一七人が「宮城県知事と石巻市長は、女川原発二号機が運転を再開するのに際して、同意をしてはならない」と仙台地裁に同意差し止めの仮処分申し立を行った。

 

女川原発二号機の三〇㎞圏内(UPZ)の住民が人格権に基づき、避難計画に実効性が欠けているにもかかわらず、住民に知らせないままで再稼働に同意しようとしている宮城県石巻市に、同意を差し止めることを求めるものである。電力会社ではなく、原発立地自治体を相手取り、避難計画の実効性を争う全国初の訴訟である。

 

交通渋滞で三〇㎞圏内から脱出できない恐れや避難所までたどり着けない恐れがあること、自家用車がなく移動が困難な住民のためのバスが確実に確保できるのか、入院患者や高齢者施設、障がい施設の入所者の「要支援者」など社会的弱者の避難問題、複合災害時における対応など避難計画は実効性に欠けていることを指摘している。宮城県石巻市は、住民説明会開催要求については、「避難計画は策定途上で、住民の不安を煽る」として開催は拒否、「避難計画の実効性確保は、再稼働同意の必須の条件ではないのか」という質問については、「国の原子力防災会議の状況なども踏まえて判断する」と国の指針で判断する姿勢で住民の意見など無視する構えだ。

 

県や市の姿勢を放置するなら、避難計画の実効性について、市民への説明がないままに再稼働が同意されてしまうことを危惧し、「市と県の避難計画に実効性があるのかないのか」「実効性がないとすれば、それでも再稼働に同意してよいのか」を法廷の場で明らかにし、市民や県民に伝えるための手段として差し止めの仮処分を申し立てた。

 

石巻市立大川小学校津波訴訟の最高裁判決で、実効性の高い避難計画の事前の整備を怠った学校側の責任を厳しく指摘されたいわゆる「事前防災義務」に実効性を欠いた避難計画は違反していることは明らかである。宮城県知事と石巻市長は女川原発再稼働に同意してはならないことは明らかである。原子力規制員会は、十一月二十八日に女川原発二号機の「適合審査書案」(合格)を示すことを表明した。いよいよ、再稼働を巡る闘いは正念場を迎える。

 

電通労組 日野正美)