女川原発第2号機 再稼働同意は県民の総意ではない / 全労協新聞 2020年12月号  

女川原発第2号機 再稼働同意は県民の総意ではない / 全労協新聞 2020年12月号

 


 

女川原発第2号機

原発再稼働同意は
県民の総意ではない

 

 十一月十一日、村井宮城県知事は、被災原発である女川原発二号機の再稼働に同意することを表明した。立地自治体の女川町議会、石巻市議会は、原発の安全性や避難計画の実効性について熟議することなく、市町の財政や地域経済へ寄与すると「原発マネー」という麻薬にすがり、避難計画の実効性についても、避難道路整備に論議をすり替え、再稼働を容認した。

 県内の五三住民団体は、県議会開会日の九月二十三日、「原発ゼロの希望ある未来のため、女川原発の再稼働をしないように求める請願」を県議会議長に、署名二九、一九三筆(累計一六〇、〇六五筆)とともに提出した。県議会開会中の九月二十六日には八〇〇人の県民が参加して、「女川原発再稼働を止めよう!宮城県大集会」を仙台市内で開催して再稼働を許さない声を上げた。

 宮城県議会環境福祉委員会では、請願者の求める意見陳述や参考人招致を拒否し、まともな審議もせず十分足らすで「再稼働反対請願」を不採択、「再稼働賛成請願」を採択し、十月二十二日の本会議で再稼働を容認したのである。村井知事は、立地自治体と県議会の再稼働容認を受け、十一月九日県内三五の首長を集めた「市町村長会議」で意見を聞き同意を取り付けようとしたが、賛成反対双方の意見表明があったため、立地自治体の石巻市長と女川町長との三者協議で決めることを提案し拍手を求め、それで一任をとったとして、二日後の十一日、三者協議を開催し三十分で協議を終え、地元同意を表明した。手続きは、まさに拙速で再稼働ありきのセレモニーでしかなかった。

 住民投票条例案を二度否決し、国の説明のみに終始した住民説明会、請願者の意見陳述の拒否、安全性検討会や県議会、市町村長会議における熟議がないなかでの同意表明は「県民の総意」ではない。

 地元紙のアンケート調査で「県議会の再稼働容認を不支持」が七二%であったと伝えた。「屋内退避」を基本として住民に被ばくを押し付ける避難計画、避難道路の確保、避難時の渋滞対策やコロナ対策も充分でなく、文宇通り「生煮えのなかでのゴーサイン」である。

 同意差止め仮処分抗告審で仙台高裁は、「東北電力への事前協議への了解や再稼働ヘの国の方針への理解の表明と、東北電力の再稼働は同一視できるものではない。」として「再稼働の直接的原因ではないこれらの行為を差止めるほどの必要性は認められない。」と棄却したが、一方で避難計画には「相当な課題が残されている。」として実効性に問題があることも認めている。知事の同意表明は、行政手続きが終了しただけに過ぎない。引き続き、再稼働を止める闘いを進めていく。

電通労組 日野正美)