全労協/ ブラジル人労働者の組合員拡大ヘ / 新聞 2019年9月号

全労協ブラジル人労働者の組合員拡大ヘ / 新聞 2019年9月号

 

 


スクラムユニオン・ひろしま

ブラジル人労働者の組合員拡大ヘ


 村田製作所では、アバンセコーポレーション(アバンセと略)とフジアルテ(株)に所属して働くブラジル人が二〇〇〇人を超えている。家族を含めれぱ約三〇〇〇人が生活しているとも言われている。場所は、出雲と石見(大田市)の二ヵ所になる。石見村田製作所は、ほとんどがアバンセで約四〇〇人である。

 

 労働形態は、これまで五勤二休で、ほとんど二交代というべき状況であった。すなわち、昼勤と夜勤で、八時間の所定労働に加え、三時間の残業がほぼ強制的に行われてきた。月間の残業時間が恒常的に六十時間を超えていた。これに対して、労働基準監督署からの指導もあり、残業時間を減らすために四勤二休体制が導入されることになった。

 

アバンセとフジアルテでは導入時期が若干違ったが、四~六月から始まった。五勤二休から四勤二休に代わると月収が落ちるため、プラジル人労働者からの反発もかなりあった。しかし、過労死水準に近づくような残業時間を要求することもできず、ブラジル人労働者の健康も考えて、四勤二休の導入にはユニオンとしても確認した。

 

 このような勤務体系の大幅な変更と同時に、村田製作所の生産減少が起こってきた。これは中国とアメリカの貿易戦争に端を発しているが、主にスマホや自動車関係のコンデンサ部品を製作している村田製作所は大きな影響を受けた。村田の生産減少の規模は、担当貴任者が青ざめるほどであった。その結果、九月末までに三〇〇人の人員整理という形が突きつけられることになった。そのうちアバンセ一OO人、フジアルテ一OO人という分担であった。

 

 アバンセもフジアルテも毎月二〇~三〇人が自然減となるため、新規雇い入れを停止し、対応するという回答であった。アバンセとの交渉では、勤怠が著しく悪い者という基準は、出勤率が六〇%に満たない者は、期間満了で退職してもらう。対象者は約十人いるとのことだった。出勤率八〇%に満たない者は、一度面談を行い、一ヵ月間の様子を値認した上で、それでも改善が見られない者は期間満了とする。ただし、病気やけが、妊娠・出産の場合はこれに該当しないという確認である。それでもユニオンメンバーが狙い撃ちされることのないように、第三条第三項を加えた。当初、この労働協約の有効期間を一年としたが、村田製作所の生産状況見通しが立たないため、九月三十日で確認し、その時点で再交渉することとなった。

 

 六月二十九日、塩冶コミュニティセンターで、出雲村田製作所をめぐる状況について説明会を行なった。同時に個別相談会も行なった。参加者は四十人を超え、すでに雇い止め通告を受けた労働者からの相談もあった。

 

 七月十五日には、大田市で説明会と個別相談会を行なった。三十人を超える参加者があり、さまざまな質問や意見が飛び交った。石見村田製作所は、基本的にアバンセだけなので、アバンセとの労働協約の問題、今後の見通しなどについて説明し、状況認識の統一を図った。現場段階では、アバンセからの退職勧奨などを受けて、どうしようかと迷っている人もいた。労働現場でのリーダーによるパワハラがひどく、なかなか良くならないので、この際辞めて、次のところに就職しようかなという意見だった。

 

 スクラムユ二オンとして、労働者の雇用を守ることを第一として事態に対処していきたいと考えている。同時に、横行するパワハラ・セクハラなどを一掃し、働きやすい職場を作り上げなから、組合員の拡大に力を注ぎたい。闘いは始まったばかりである。