全労協/ 職場に根付いた取り組みで長時間労働と闘い低賃金を打ち破ろう! / 新聞 2019年3月号

全労協職場に根付いた取り組みで長時間労働と闘い低賃金を打ち破ろう! / 新聞 2019年3月号


職場に根付いた取り組みで長時間労働と闘い低賃金を打ち破ろう!


議長 渡邉洋


年明け早々、厚生労働省の毎月勤労統計集計作業に不正があることが明らかになった。勤労統計は休業給付や失業給付など様々な手当額に反映されるが、不正統計で賃金水準を安く見積もったため、社会保険支給金額などが安く支払われていた。過少給付になった人は延べ約二千万人、追加給付の金額は五百億円を超える。

連日国会で、アベノミクスの成果を演出するための偽装だったのではないか?との野党が追及するが、関係ないと政府は答えている。偽装の意図の有無はともかく、統計としての信頼性は失われた。国会審議の中では、GDP統計にも問題があることが明らかになった。アベノミクスの成果を「実感できない」という庶民感覚こそが、実態に即している。

私たちの生活実態がでたらめな統計で語られてきたことに、私たちはもっと怒らなければならない。でたらめな統計に依拠した経済政策が、政権によって自画自賛されてきたことに怒らなければならない。19春闘は、こうした環境の中で進められる。

民間大手労組の中で、ベア要求水準を明らかにしない動きが日を追って強まっている。こうした動きは、大手企業の賃上げが関連企業、下請、中小に波及していく構造を断ち切っていく可能性を強めている。社会に対して影響力を発揮する労働運動、企業・産別の壁を越えた地域ぐるみの「春闘」の否定ではないか。もう一度確認しよう。最低賃金は誰でもどこでも一五〇〇円、八時間働けば暮らせる社会を!大幅賃上げを勝ち取ろう!格差社会を許さない19春闘を!

春闘では、三月六日を「三六(さぶろく)の日」とし、各労働団体とも長時間労働が蔓延するこの社会の変革に向けた取り組みを展開する。新しい労働基準法の施行を目前に控え、高度プロフェッショナル制度を導入させない取り組み、三六協定の見直しをめぐる労使交渉などが喫緊の課題として問われている。裁量労働制の対象拡大の動きも封じ込めなければならない。

かねてから長時間過重労働が問題となっていた教員を巡っては、年間を通した変形労働時間制という論議が持ち出されているが、教員数の大幅な増員に踏み込まなければ真の解決はあり得ない。医師の長時間労働対策は、まったく前進が見られない。

全労協は、長時間労働との闘いを、職場に根付いた取り組みとして進める。この闘いは、残業代に依存しなければ生活できない現実、低賃金を打ち破る闘いでもある。「八時間働けば暮らせる社会を!大幅賃上げを勝ち取ろう!」を合い言葉に、「三六の日」を迎えよう。


メーデーに結集しよう

二月十六日から十七日にかけて、徳島で「西日本春闘討論集会」が開催された。

まもなく施行される改正入管法によって間違いなく増えていく外国人労働者を、働く仲間、共に生活するものとしてどう私たちが受け止めていくかが議論の中心となった。集会では、西日本各地、とりわけ、農山漁村に点在する技能実習生受け入れ職場の劣悪な実態、逃げ出した実習生を保護し、未払い賃金の請求や労働条件の改善に取り組む労働組合や人権団体の取り組みが報告された。

二月十五日の経団連前けんり総行動でも、多くの外国人労働者が参加し、祖国の労働歌を熱唱した。言語、国籍、肌の色などを理由に、過酷・劣悪な労働を押しつけられてきた彼らの歌声を、さらにパワーアップして経営者たちに突きつけなければならない。

二月十二日、日比谷メーデー実行委員会結成準備会が開催され、実行委員会の立ち上げが確認された。

天皇の代替わりに便乗したメーデーつぶしの策動や、大型連休による結集への影響が懸念されるが、五月一日は百年以上もの間、全世界の労働者が、八時間労働制の確立、生活と権利を賭けて闘ってきた「統一行動日」だ。その伝統を日比谷メーデーとして守り抜くことの意義が、参加者全体であらためて確認された。