全労協/ 19けんり春闘勝利に向けて / 新聞 2018年12月号

全労協19けんり春闘勝利に向けて / 新聞 2018年12月号



全労協新聞
より


19けんり春闘勝利に向けて

労働者の団結と連帯で8時間働ければ暮らせる社会を!
大幅賃上げを勝ち取ろう!


十一月三十日、19けんり春闘は発足総会を開催して春闘準備に入る。公務関係労働者の賃金労働条件に関わる確定闘争が山場を迎えているが、東京清掃労働組合などが対象となる東京都特別区人事委員会が平均二・四六%九六七一円という大幅な賃金引下げ勧告を出して労働者の激しい憤りを呼び起こしている。いま、実質賃金は下がり、個人消費は低迷を続けるデフレ経済から脱却できない日本経済の状況を官製春闘ではあれ、政府が賃上げを財界に要請するという状況にある中で大幅賃下げを勧告するというのである。

労働基本権を制約して設置されている人事委員会制度が根本的に問われる事態でもあり、人事委員会が自ら制度の矛盾を露呈させ、破壊を進めていると言っても過言ではない。そして公務公共サービスの関わる全ての労働者の生活と権利を保障するとともに、公平公正な公共サービスを全ての市民が享受できる体制を保障することに密接に関連することになる。

一方、政府は入管法を改訂し、「人手不足」対策として財界の要請を受けて新たな外国人労働者の新たな受入れ制度を創設して二〇一九年四月から実施しようとしている。この改定案を巡って国会は緊張に包まれている。政府・法務省は実習職場から離脱した技能実習生を資格外就労として摘発し帰国させた際に聞き取ったという調査結果を発表したが、そのデータはまたまたねつ造されたもので、法務大臣は謝罪してデータを撤回せざるを得ない事態となっている。

しかし、低賃金と長時間労働、ハラスメントに加えて民族差別がまん延し、何らの対策も取ることのないままに放置されてきた外国人労働者の置かれている実態が明らかになってきたのである。既に二八万人を超える技能実習生の悲惨な労働環境についてマスコミは連日報じている。自動車、電機産業などの大企業や中小零細企業、農漁業に至るまで日本経済の下支えとして存在しているのである。

19春闘はこうした安倍政権下に置かれている労働者の生活と権利を取り戻し、「八時間働けば暮らせる社会」をどう実現するために闘うのかが問われているのである。貧困と格差社会は確実に拡大し、人は大都市圏へ集中し、地方は閑散となって疲弊し、同じ労働に従事しても賃金格差は拡大して再び大都市へ集中する悪循環が続いているのである。そして大都市の職場は長時間労働とセクハラ・パワハラ、非正規雇用が拡がり、若者は低賃金ゆえに将来に希望を見いだすことができずにいるのである。


均等待遇を獲得する闘い

そして労基法に定められている最低賃金に幾らかの上乗せされた低賃金で働く労働者が増え続けているのである。あるいは支給金額を労働時間で換算すれば最低賃金を割り込む実態さえ拡大しているのである。全ての労働者の賃金引上げ、雇用形態の違いを超えた均等待遇を獲得する闘いが求められている。

春闘は生活の向上と権利の拡大を求めて労働組合が政府・資本に要求を提示し、企業、産別を越えて共同して闘うことによって要求を実現してきたのである。官民労働者の連帯も生まれてきた。労働組合に認められた争議権を行使して闘ってきたのである。そしてその成果は社会福祉政策等の拡充を通して社会全体の生活向上を実現させるものとして闘われてきたのである。

18春闘ではトヨタ自動車労資は賃上げ交渉の詳細を開示することを取りやめ、労働者全体の賃上げについてそのリーダー役を担わないことを表明している。そして連合は19春季生活改善闘争には「賃金水準」を示し、ベア要求方式からの転換を決定した。史上最大の利益を上げ続ける大企業労組は産別から企業ごとの実績に沿った交渉へ移行することになるであろう。

私たちは少数派ではあるが官民、企業、雇用形態を越えた共同の闘いを作り出さなければならない。『八時間働けば暮らせる社会を!大幅賃上げを勝ち取ろう!』を団結と連帯で実現しよう。