第30回 全労協大会の成功に向けて
沖縄県知事選勝利で新基地反対へ
辺野古新基地建設反対
かつて沖縄の知事選挙は基地問題を巡って保革が激しく対立してきた。そのような歴史の中で翁長知事は、米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を旗印に、旧来の枠を超えて「オール沖縄」を誕生させた。そして辺野古移設に反対の姿勢を貫き、国の安全保障はどうあるべきかを問い続けた。
沖縄県民は、敗戦によって土地を取りあげられ、沖縄は「本土」から分離され、米国統治下で権利も自由も奪われた。
一九七二年、沖縄は「核抜き本土並み」で返還されたが、「本土」復帰後のいまも、国土面積の〇・六%の島に米軍専用施設の七〇%以上が集中する。なぜ、沖縄への基地集中が変わらないのか。そして、日本国憲法より日米地位協定が優先され、県民の人権が蹂躙され続けている。
こうした差別的構造のなかで、翁長知事の「なぜ沖縄だけがこれほどの重荷を押しつけられねばならないのか」という叫びに、安倍政権は冷淡だった。
国政選挙において移設反対派が勝利しても、その民意を顧みることなく、「辺野古移設が唯一の解決策」と繰りし基地建設工事が進められている。これは沖縄の基地負担軽減に逆行するだけではなく、東アジアの緊張緩和の流れにも逆行している。
こうした中で、翁長知事が亡くなった。海面の埋め立て承認を撤回する手続きに入ることを表明した矢先のことだった。
これから沖縄は九月に知事選は行われる。これ以上の基地建設は必要なのか、知事選の結果によって沖縄は大きな岐路に立つ。翁長知事が作りあげた保守・革新の対立を乗りこえた「オール沖縄」の意思を、「本土」に生きるわれわれも引き継いでいかなければならない。
歯止めがない九条改憲
憲法施行から七〇年を迎えた昨年五月三日、安倍首相は、自衛隊の存在を憲法に明記する九条改憲の具体案を示した。それは、「自衛隊の存在を憲法にしっかりと位置付け」、「議論の余地なくすべく」、戦争放棄を定めた九条一項、戦力不保持や交戦権否認を定めた二項を維持した上で、「実力組織」としての自衛隊の存在を憲法に明記する案で自衛隊を事実上、戦力と認める。
われわれがこれを許せば、戦後七三年の歩みとは全く別の道を歩むことになる。
(金澤壽議長)