東京福祉大学のスラップ訴訟と闘う / 全労協新聞 2018年3月号

東京福祉大学のスラップ訴訟と闘う / 全労協新聞 2018年3月号


交通ユニオン
東京福祉大学のスラップ訴訟と闘う


 九年前に大学職員へのわいせつ行為により逮捕された東京福祉大学元総長の中島氏は、文科省によって大学の教育と経営に関与してはならないとの行政指導を受けている。

 しかし、昨年からはその行政指導に違反する事実が複数明らかになり、最近でも大学の教職員研修会の場で講演を行うなど、大学への関与を深めていることは明白である。中島氏の関与を、黙認している東京福祉大学の責任は大きいと言わねばならない。

 その中島氏は昨年三月、田嶋組合員及び交通ユニオンに対して名誉棄損とプライバシー侵害を理由に五五〇〇万円支払えとする損害賠償請求裁判を起こした。この訴訟は、中島氏を批判する田嶋祖合員とそれに与する交通ユニオンに多額の損害賠償を請求し、その活動への報復と委縮させる狙いを持ったスラップ訴訟であることは明白である。

 この裁判で東京地裁は昨年十二月十五日、私たちに対して「八八万円を支払え」とする判決を下した。判決では「原告の大学への影響力を明らかにするためには前科に言及する必要性」を認め、「公益目的を認めることができる」など大部分では私たちの主張を認めているものの、「公益目的を実現する範囲を超えるものと言わざるを得ず」「原告の社会的評価が低下し」プライバシーに係る利益が侵害され、精神的苦掲が生じた」としている。

 五五〇〇万円の請求に対して八八万円という低い金額ではあるが、中島氏が主張する名誉棄損・プライバシー侵害を認めたことに変わりはない。

 私たちはこの不当判決に対して昨年十二月二十七日、控訴した。東京地裁の事実誤認、不当判決を断じて許すことはできない。