安倍政治そのものが問われる / 全労協新聞 2016年7月号

安倍政治そのものが問われる / 全労協新聞 2016年7月号



全労協新聞
より


直言
激論

安倍政治そのものが
問われる参議院選挙だ

選挙権年齢が十八歳以上になって初の国政選挙となる参議院選が六月二十二日公示され、七月十日の投開票に向けた選挙戦がすでに始まっている。

安倍首相は、「三年間で雇用を一一〇万人増やし、有効求人倍率は二四年ぶりの高い水準だ。この政策をやめてしまえば三年半前、四年前の暗く停滞した時代に逆戻りしてしまう」と公言しているが、しかし実際は派遣や有期雇用で働く若者が増え、長年働いても賃金が上がらず、結婚をあきらめざるを得ない。

将来への安心感がなければ少子化対策にはならない。子どもの六人に一人、単身の高齢女性の二人に一人が貧困だ。このようにアベノミクスのアクセルを踏めば踏むほど格差は広がり、国民生活は一層厳しくなった。

ところで安倍自民党は選挙前になると経済政策を強調してきた。確かに私たちの暮らしにかかわる経済政策が重要なのは間違いない。ただ今まで安倍政権は選挙後に秘密法や、二〇一四年の衆議院選で経済政策を最大の争点にあげながらその後安保法制など国民の反対世論が強い政策を進めてきた。今回の参議院選の隠れた争点は憲法改「正」だ。

どの選挙でも重要ではない選挙はない。しかし、たしかに参議院選は「政権選択の選挙」ではないとはいえ、この国の将来を左右する格別に重要な選挙である。

すでに衆議院では改憲勢力憲法改「正」の発議に必要な三分の二以上の議席を確保していて参議院議席が焦点になる。参議院選後安倍首相は秋の臨時国会に衆参憲法審査会を再始動させる構えでいる。マスコミが伝える勝ち負けの問題ではない。ポイントは、「アベノミクスによる格差と貧困」「安全保障関連法」「原発再稼動反対」「憲法改悪反対」など、安倍政治そのものを問わなければならない。

昨年からの大衆運動の高揚が参議院選挙に向けて「野党は共闘」をつくり出しそれが一歩進んだ。この力をさらに安倍政権打倒のために結集させなければならない。今こそ、この闘いの中心に労働者、労働組合が立ち、そしてその力がどこまで安倍政権に迫れるかが問われている。

全労協議長金澤壽)