レイバーノーツ大会参加報告
世界の活動家と出会い
多くの刺激と連帯を実感
三月二十九日から約一週間、レイバーノーツ大会に参加するためアメリカ・シカゴを訪れました。レイバーノーツは、一九七九年に創設された、アメリカの労働運動の再生と活性化を支えている運動団体のひとつです。二年に一回、このレイバーノーツ大会を開催しています。
大会を前に、現地労組の訪問やシカゴ労働運動史を学ぶツアーを行ないました。United electrical radio and machine workers of America(全米電気機械無線労働組合略称UE)、マイケル・ムーア監督の「キャピタリズム〜マネーは踊る」に登場した生産協同組合・New Era Windows Cooperative、ヘイマーケット事件で亡くなった方々が埋葬されているフォレスト・パーク墓地等、数多くの場所を訪れました。
最賃一五ドルを求め世界規模の運動へと発展させたFight For 15のシカゴ事務所に訪れました。運動を始めた当初、「最賃を二倍に引き上げろだなんて!」と笑い者にされていた彼らは、この四年で一二〇〇万人の賃上げを実現。シカゴ市では最賃が一三ドルになりました。四月に入り、カリフォルニア州とニューヨーク州では最賃を一五ドルに引き上げることを決定。最賃一五ドルは、もう夢の話ではないことを目の当たりにしました。
大会の初日は、朝六時半からChicago Teachers Union(シカゴ教職員組合略CTU)のストライキに参加しました。新自由主義のシカゴ市長は、二〇一三年にも公立学校を五〇校閉鎖するなど、教育の民生化を掲げ公教育を追い詰める政策を取ってきました。しかも、今年度は予算すら執行されていない状況です。
怒りの声を上げたCTUの組合員たちがストライキに突入しました。この日は、CTUのストライキに連帯し、FF$15のメンバーたちもストライキに突入しました。学校前で行われた集会には、「We stand with the teachers」と書かれたプラカードを持った生徒や保護者の姿がありました。午後からは、シカゴの中心地にあるトンプソンセンターで集会とデモが行われ、シカゴの目抜き通りを歩く人びとの波は長く続きました。
レイバーノーツ大会では、数多くのワークショップが企画されており、参加者はそれぞれ関心のあるワークショップに参加しました。日本グループは、Organizing for Labor and Human Rights in Japanと題しワークショップを行いました。全石油昭和シェル労組の柚木康子さんが女性労働者と賃金差別について、東京清掃労組の押田五郎さんが清掃労働者に対する職業差別について話をしました。ワークショップ終了後参加者には、「連帯」「団結」などの言葉が書かれた柚木さんの書がお土産として手渡され、大変喜ばれました。
Labor Confronts U.S.Interventionと題したワークショップでは、沖縄統一連事務局長の瀬長和男さんが、米軍基地を抱える沖縄の状況について報告。コロンビアからのスピーカーは、多国籍企業を守るために米軍基地が機能し、反対の声を上げる労働組合の活動家たちが弾圧されている状況を知ることができました。中南米では、労働組合の活動家が殺害されることも珍しくありません。その状況を知り、改めて憲法二八条の重みと、弾圧と闘い、ここまでの道のりを築いてくれた労働運動の先輩達への畏敬の念が湧いてきました。
(大椿裕子大阪教育合同労組委員長)