全労協/ コラム 大変だが自立した 労働者として発言を / 全労協新聞 2014年8月号

全労協/ コラム 大変だが自立した 労働者として発言を / 全労協新聞 2014年8月号



コラム
疾風

大変だが自立した
労働者として発言を


東京リサーチによれば、今年三月期決算で、一五〇社、二七三人が一億円以上の役員報酬をうけていた。昨年に比べ一一九人増加。企業順位では一位三菱電機・十八人、二位三井物産・八人、三位野村ホールディングス・七人。個人では、一位キョウデン橋本浩・一二億九二〇〇万円、二位カシオ計算機樫尾和雄(社長)・一二億三三〇〇万円、三位樫尾幸雄(顧問)一〇億八三〇〇万円とある。

「一%と九九%」の象徴であるが、年収二〇〇万円~四〇〇万円の労働者にとって、あまりにも雲の上のことでピンとこない。「上見て暮らすな、下見て暮らせ」が染みついてしまったのか?この企業、又は関連企業に働いているか組合に関わりがあれば、怒りも湧くだろうが。自分の階級性が薄れているのか。

次の数字はどうだろうか。オスプレイ一機・九一億円~一〇〇億円(兵器の価格はメーカーの言い値の独占価格)。陸上自衛隊は、二〇一八年までに十七機購入予定。最新情報では、南西諸島防衛のため九州・佐賀空港に配備を決定とか。そして、航空自衛隊は、次期ステルス戦闘機F35(一機・九九億円~一〇二億円)を二〇一六年四機、二〇一七年二機購入予定という。これには怒りが湧く。

私たちは、支持政党を持っていない。そして、労働運動で社会を変える社会的労働運動を推進している。政治・社会の諸課題を政党だけに任せるのでなく、自立した労働者として発言していくことだ。しかし、これは大変な体力、気力、知力を必要とする。私は一九四六年生まれの「戦争を知らない」世代だ。しかし、この様な社会にしてしまった責任は、私たちにある。子どもたちや孫たちに未来を見せてあげたい。

私たちは労働組合に結集している。今や組織率一七・七%と言われている。神奈川県共闘が運営する神奈川労働相談センターへの相談から全国一般全国協神奈川に組織化された組合員が増えている。二人の定年退職者による電話相談が大きな役割を果たしている。問題解決で辞める人もいるが、残る人もいる。今まで労働組合に出会ったことのない人たちが少しづつ発言しだした。ここに可能性を見いだそう。

「資本の鉄鎖を打ち砕け!」。最近本のタイトルに目がいき、水野和雄著「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社)を読む。経歴の元証券マンがユニークだ。資本主義後の社会は?労働者の生活と権利を闘いとり続ける以外にない。そして、ジョンレノンの「イマジン」を想う。長生きすることは金もかかる。死ぬまで生きよう。



▼取り上げられている本

『資本主義の終焉と歴史の危機』
水野和夫