最低賃金13-41 地域別最低賃金に関する質問主意書 (山本太郎)

最低賃金13-41 地域別最低賃金に関する質問主意書 (山本太郎


最低賃金13-35 地域別最低賃金に関する質問主意書 (山本太郎

で紹介した「地域別最低賃金に関する質問主意書」の答弁書が8月13日にでている。

第184回国会(臨時会)(平成25年8月2日~平成25年8月7日)



質問と答弁


地域別最低賃金に関する質問主意書

 最低賃金法に基づいて都道府県別に設定されている地域別最低賃金は、本質問主意書を提出する段階では、最も高い東京で時間額八百五十円、最も低い島根及び高知では時間額六百五十二円、全国加重平均額七百四十九円という水準である。
 この現状に対し、政府は、本年六月十四日に閣議決定された「日本再興戦略」において、最低賃金の引上げに努めると明言し、中央最低賃金審議会に対して引上げに向けた審議を要請、現在、金額改定に向けた審議が行われているところと承知している。
 ついては、今期の改定にとどまらず、中期的な改正の在り方を展望した、最低賃金の在るべき金額水準及びその金額水準へ到達するための政策について、以下質問する。




一 そもそも労働基準法は、第一条において、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」としている。この文言にふさわしい賃金額とは、年収でいくら程度が妥当と考えるか、他の家族からの仕送りや資産等はなく、自らの賃金収入のみで自立して生計を営む単身者をモデルとして、政府の見解を明らかにされたい。


一について

 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第一条に規定する労働条件とは、賃金だけでなく、安全衛生や災害補償等が含まれるものであることから、賃金について一定の額を提示することは困難であるが、政府としては、地域別最低賃金の水準について、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第九条第二項及び第三項の規定に基づき、生活保護を下回らない水準となるよう配慮すべきであると考えている。



二 国連の社会権規約委員会は、本年五月十七日、日本政府に対する総括所見を採択した。その中で最低賃金の平均水準について、「最低生存水準及び生活保護水準を下回っていること、並びに生活費が増加していることに懸念を表明する」旨を示し、「労働者及びその家族に相当程度の生活を可能にすることを確保する観点から、最低賃金の水準を決定する際に考慮する要素を再検討すること」を、日本政府に要求している。この要求について、政府の見解及び今後の対応を明らかにされたい。


二について

 政府としては、御指摘の経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解に対して「最低賃金生活保護の水準を下回っている地域が存在することについては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、二〇〇七年に最低賃金法が改正され、最低賃金を決定する際には、生活保護との整合性に配慮すべきことが既に明確化されている。同規定を踏まえ、最低賃金額が生活保護の水準を下回っている場合には、最低賃金を引き上げることで、この乖離額の計画的な解消に努めている。」との意見を同委員会に提出する予定である。


▲参考
最低賃金13-25  最低賃金審議会資料に、今年5月の国連・社会権規約委員会の最終見解を



三 二〇一〇年六月三日、内閣総理大臣が主催し、産業界及び労働界の代表が参加した「雇用戦略対話第四回会合」において、「最低賃金の引上げ」について、「二〇二〇年までの目標」が合意されている。内容は、「できる限り早期に全国最低八百円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均千円を目指すこと」というものであるが、この目標を、政府は現在も掲げているか。掲げていない場合、政府として、新たな目標及びタイムスケジュールを設定しているか。新たな目標が設定されていない場合、今後、検討する予定はあるか、政府の方針を示されたい。


三について

 御指摘の雇用戦略対話会合においてされた最低賃金引上げに関する目標の合意については、その後、合意の当事者である政府、労働界及び産業界の代表等の間で、見直されていないところである。政府としては、最低賃金を引き上げていく環境整備のためにも、平成二十五年六月十四日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」及び「日本再興戦略」に基づき、企業の収益を向上させ、それが雇用の拡大や賃金の上昇をもたらすような好循環を生み出すよう、努めてまいりたい。



(F)