最低賃金16-21 最低賃金引き上げを求める地方議会の声

最低賃金16-21 最低賃金引き上げを求める地方議会の声


例年、いくつもの議会で意見書が採択されている。
地域によるが、市議会などでも多くの意見書が採択されている。


福岡県は県として意見を出している。


1-1 福岡県


最低賃金の引上げ等に関する意見書の提出について

発表日:平成28年7月8日

本日、最低賃金の引上げ等に関する意見書を提出しました

 
 日本経済は、企業収益や就業者数、実質賃金などの雇用・所得環境は改善傾向にありますが、この経済の好循環を一時的なものに終わらせず、さらに、地域経済にも好循環をもたらすことが求められています。
 しかしながら、現状は雇用形態の違いによって賃金格差が生じ、非正規職員の待遇は十分な状況にはありません。雇用形態の違いによる処遇差の是正や、若者や女性などが、多様で柔軟な働き方をしながら、将来の生活に希望を持って家庭を築き、子供を育てることができる社会を実現するためにも、最低賃金を引上げることは極めて重要です。
 そのため、本年度においても、最低賃金の引上げ及び引上げに向けた中小企業支援施策の強化について、国等に対し提言を行うこととし、本日下記のとおり意見書を提出しました。

1 提出日

  平成28年7月8日 金曜日

2 提出先

  [中央]
[地方]
  • 福岡地方最低賃金審議会会長(平成28年7月14日提出予定)
    久留米大学法学部教授 阿部 和光(あべ かずみつ))
  • 福岡労働局長(平成28年7月12日提出予定)

3 意見書の内容

1 地域別最低賃金の改定に当たっては、正規社員と非正規社員の賃金格差の是正や労働者が健康で文化的な最低賃金の生活を営むことができるよう、生活保護の整合性に配慮しつつ地域の実情に合わせた適切な引上げを行い、できるだけ早期に最低賃金800円を実現すること
 
2 最低賃金の引上げに当たっては、日本経済全体の生産性向上と収益力の強化を進め、改善した企業収益による賃上げや投資を介して、更なる消費や投資が拡大するという経済の好循環を中小企業や地方に結びつけ、さらに拡大・深化させるための対策を講じること。特に、経営基盤の弱い中小企業に対しては、経営力の強化や経営の安定化を進めるために生産性の向上や取引条件の改善を図るなど総合的な支援・諸施策を強力に実施すること



▲参考資料は、要チェック


1-2 岩手県議会

平成28年3月24日(発議案第3号)
意見書提出先 : 衆議院議長参議院議長、内閣総理大臣財務大臣厚生労働大臣経済産業大臣

最低賃金改正等に関する意見書

 
勤労者の労働条件の改善のため、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。

  理由

  本県では東日本大震災津波からの復旧・復興に懸命に取り組んでいるところであるが、一定水準の賃金の保障を始めとした雇用環境が確保されなければ、人材確保が厳しくなり、被災者の生活再建や地域の復興への影響が懸念される。

  このような中、労働基準法第2条は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものと定めているが、最低賃金の影響を受ける多くの非正規労働者やパートタイム労働者は、労働条件の決定にほとんど関与することができない状況にある。

 一方、政府においては、平成20年の成長力底上げ戦略推進円卓会議において、最低賃金の中長期的な引上げに向けた基本方向について合意し、平成22年の雇用戦略対話第4回会合において数値目標が初めて示されたが、あるべき水準への引上げができていない現状にある。

  最低賃金制度を有効に機能させるためには、地域間の賃金格差の是正、賃金水準の大幅な引上げや中小企業の生産力向上が極めて重要な課題である。
 よって、国においては、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、次の措置を講ずるよう強く要望する。

 1 最低賃金に関し、次の事項を改善すること。
 (1) 最低賃金の改正に当たっては、雇用戦略対話の合意に基づき、早期に最低でも800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円に到達させること。
 (2) 地域間格差をなくすため、全国一律最低賃金制度を確立すること。

 2 以下の制度改正を行うこと。
 (1) 中小企業に対する支払い遅延やいわゆる買いたたき等をなくすため、中小企業憲章を踏まえて、中小企業基本法下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法及び独占禁止法を改正すること。
 (2) 最低賃金を引上げるため、中小企業振興策を拡充するとともに、中小企業の負担を軽減するための直接支援として、中小企業及び中小企業で働く労働者の社会保険料負担や税の減免制度を創設すること。

 3 中小企業に対する支援の充実とその周知を図り、安定した経営を可能とする対策を講じること。
 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。




平成28年3月24日(発議案第4号)
意見書提出先 : 岩手労働局長、岩手地方最低賃金審議会長

平成28年岩手県最低賃金改正等に関する意見書

 県内勤労者の労働条件の改善のため、岩手県最低賃金の適切な引上げ及び事業所に対する最低賃金制度の周知徹底等について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。

 理由

  本県では東日本大震災津波からの復旧・復興に懸命に取り組んでいるところであるが、一定水準の賃金の保障を始めとした雇用環境が確保されなければ、人材確保が厳しくなり、被災者の生活再建や地域の復興への影響が懸念される。

  このような中、労働基準法第2条は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものと定めているが、最低賃金の影響を受ける多くの非正規労働者やパートタイム労働者は、労働条件の決定にほとんど関与することができない状況にある。

  一方、政府においては、平成20年の成長力底上げ戦略推進円卓会議において、最低賃金の中長期的な引上げに向けた基本方向について合意し、平成22年の雇用戦略対話第4回会合において数値目標が初めて示された中にあって、岩手県最低賃金は、ここ9年間で85円引き上げられているものの、あるべき水準への引上げがなされておらず、県内勤労者の有効なセーフティネットとして十分に機能しているとは言えない。

  最低賃金制度を有効に機能させるためには、地域間の賃金格差の是正、賃金水準の大幅な引上げや中小企業の生産力向上が極めて重要な課題である。

  よって、平成28年度の岩手県最低賃金の改正に当たり、次の措置を講ずるよう強く要望する。

 1 平成28年度の岩手県最低賃金の改正に当たっては、雇用戦略対話の合意に基づき早期に800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円に到達することができる審議会運営を図るとともに、各種経済指標との整合性を図り、中央水準との格差是正を踏まえた上積みを図ること。

 2 県内で最低賃金を下回る賃金の労働者をなくすため、事業所に対する指導監督を強化し、最低賃金制度の履行確保を図ること。

  上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



1-3 福島県議会

最低賃金の引上げを求める意見書

最低賃金制度は、非正規労働者を含む全ての労働者の賃金の最低額を法律により保障するものであり、毎年、中央最低賃金審議会が作成する「目安額」を参考に各都道府県最低賃金審議会の審議を経て、地域別最低賃金を決定することとされている。

この最低賃金の引上げについては、政府が決定した「経済財政運営と改革の基本方針2015」及び「日本再興戦略」において、引上げの意向が示されているとともに、2010年に合意に至った、政労使の代表からなる「雇用戦略対話」において、2020年までの目標として「できるだけ早い時期に全国最低800円(時間額)を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1,000円を目指す」こととされている。

最低賃金の引上げは、全労働者の4割にも達しようとしている非正規労働者の所得の向上に直結し、内需の拡大に寄与することから、日本経済がデフレからの脱却を図り持続可能な経済の好循環に結び付けるためには、最低賃金の大幅な引上げが必要不可欠である。また、来年4月に予定されている消費税率の引上げが、非正規労働者与える影響を考えた場合、最低賃金が持つセーフティネット機能を維持するためにも物価上昇と消費税率の引上げ分を考慮した最低賃金額の引上げが必要となる。あわせて、当県の復興を促進させる上でも、最低賃金の引上げにより、一定水準の賃金が確保されることは、県内の労働力の確保や若年層を中心とした労働人口の県外流出に歯止めを掛ける上で非常に重要である。

現在、福島県最低賃金は、時間額で705円となっているが、この金額は2007年からの8年間全国水準で31位と低位にあり、県内勤労者の賃金水準や経済実勢などと比較しても極めて低く、一般的な賃金の実態に見合った十分な水準の引上げが極めて重要な課題となっている。

よって、国においては、当県の一層の発展を図るため、次の措置を講ずるよう強く
要望する。

1 当県の復興促進、労働人口の流出に歯止めを掛けることを踏まえ、上積みの改正を図ること。

2 中小・地場企業に対する支援策等を強化し、最低賃金の引上げを行う環境を整備
すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年3月22日
参議院議長
福島労働局長
福島県議会議長杉山純一


1-4 島根県議会

平成28年度地域別最低賃金改正等についての意見書(平成28年5月定例会)


平成28年度地域別最低賃金改正等についての意見書

上記の議案を別紙のとおり会議規則第14条第1項の規定により提出します。

平成28年6月17日

提出者
生越俊吉田雅紀
遠藤力中島謙二
岡本昭洲浜繁佐々木雄三
田中八洲和田章一
白石恵
岩田浩藤原常田中明
 
(別紙)
平成28年度地域別最低賃金改正等についての意見書
 
 政府は、昨年、「一億総活躍国民会議」においてGDP600兆円の強い経済実現に向けた当面の緊急対策として、賃金及び最低賃金引き上げを通じた消費の喚起と最低賃金引き上げに向けて中小企業者、小規模企業者の支援を図ることを確認しています。

 中央最低賃金審議会においては、2010年の雇用戦略対話における最低賃金引き上げに関する合意など近年の一連の政府方針を踏まえた議論が行われ、最低賃金の底上げが図られてきたところであり、さらに、拡大する地域間格差の課題も含め最低賃金の今後のあり方についても審議が継続中です。また、島根県の昨年の審議会においても、公労使の真摯な議論のもと、最低賃金が時間額表示となった平成14年度以降、過去最高の引き上げが行われたところです。

 しかしながら、本県においても、地域別最低賃金近傍で働く多くの未組織労働者は年2000時間働いてもその収入は140万円程度、ワーキングプアといわれる年収200万円台にも遠く及ばず、経済的に自立した生活を営むことが困難な状況にあるのが実態です。

 最低賃金制度は勤労者の生活を支える最大の柱であり賃金のセーフティネットであるべきものですが、本県の最低賃金は依然適正水準とは言い難いものです。また、都市部との賃金水準格差がさらに拡大すれば、若者を中心とした県内定住や人口減少に歯止めをかけることはできません。

 こうした現状に鑑み、本議会は下記事項を強く要望します。
 

国においては、平成28年度地域別最低賃金の改定に当たっては、最低賃金法の「賃金の低廉な労働者」の実態を考慮し、一般労働者の賃金水準、経済諸指標、中央水準、また当該県の実体経済、生活環境などを踏まえた適正な水準引き上げに向けた改定を図るよう指導・助言を行うこと。

その際、特に、国においては、未組織の勤労者やパートタイムの勤労者等にも配慮した当該地域別最低賃金について十分な審議がなされるよう、徹底すること。

国においては、「一億総活躍国民会議」の確認を踏まえ、適正な最低賃金の改定に合わせて、中小企業者、小規模企業者に対する助成の拡充を早期に行うこと。
 
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
 
 平成28年月
 
島根県議会
 
(提出先)
 参議院議長
 経済再生担当大臣
 内閣府特命担当大臣(規制改革)
【平成28年6月17日原案可決】

などなど