3/20 東日本大震災から2年、これからのアスベスト対策を考える集いin仙台




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アスベスト被害者が訴える(3月20日)


東日本大震災から2年、これからのアスベスト対策を考える集いin仙台

アスベスト被害のない
被災地復興への取り組みを


3・11東日本大震災から二年が経ち、被災地では復興に必要ながれき(災害廃棄物)の処理が急ピッチで進んでいますが、阪神淡路大震災時にがれきの処理作業に従事した労働者が中皮腫を発症し、労災認定された事例からも、東日本大震災の被災地でも、アスベスト石綿)による環境汚染や健康被害を予防する取り組みが求められている。

震災直後の二〇一一年四月から、東京労働安全衛生センター等を中心に、被災地でのアスベスト含有建材の状況を把握し、気中のアスベスト繊維濃度の測定、評価等のアスベスト対策の為の調査活動が「震災マスクプロジェクト」として岩手・宮城で取り組まれて来た。

発がん物質であるアスベストを吸うと三十年~四十年の潜伏期間を経て、中皮腫や肺がんなどの健康被害を発生させる恐れがある事。がれきや建物にはアスベストが含まれている事。解体・撤去・運搬・処理の過程で飛散したアスベスト粉じんを労働者やボランティア、住民が気づかぬうちに吸い込む危険性がある事などを、仙台・石巻・女川・気仙沼自治体も含めた「調査報告・現地シンポジウム」は明らかにしてきた。

特に被害が大きくがれきの量も最大の石巻市では、二〇一一年十一月から「石巻アスベストプロジェクト」として集中して取り組まれ、がれき処理場を始め市内各所で調査を進め、自治体や施行業者にアスベスト処理への注意提言が行なわれて来た。

(四月十二日NHK―TVクローズアップ東北「アスベスト・被災地に潜むリスクとは」ではプロジェクトの取り組みも紹介)

そうした取り組みを踏まえ、三月二十日、仙台市市民活動サポートセンターで「これからのアスベスト対策を考える集いin仙台」が開催され、阪神淡路大震災がれき処理でのアスベスト被害・労災認定の報告と、二〇〇五年六月のクボタ工場からの深刻な被害を受けられたアスベスト疾患・患者と家族の会の方々など全国からも多くの参加があった。

シンポジウムでは、仙台市がれき処理に関与され「仙台方式」として環境汚染や健康被害を基本に分別から最終処理まで提言された東北大学大学院環境科学研究科教授の吉岡敏明氏、東京労働安全衛生センター外山尚紀氏、被災現地で対応に奔走した仙台錦町診療所・産業医学センター所長広瀬俊雄氏、立命館大学グローバルイノベーション研究機構研究員南慎二郎氏の阪神大震災の経験など、それぞれ事例が話され、パネルディスカッションでは、アスベスト被害のない被災地の復興のために、今後も調査・監視そして健康診断の強化など健康被害をなくする体制を行政にも求め行動して行く事の必要性が語られた。

(マスコミの関心も高く、多数のニュース取材があった。)

私たち、東北全労協としても、これまで職場でのアスベスト対策を事業者側に要求する等、健康被害の認識は有ったのだが、東日本大震災時には、安否確認、復旧等に忙殺され具体的な取り組みが出来なかった事を反省すると同時に、震災直後の混乱した状況の中では、全国的なネットワークを生かした外からの取り組みが不可欠である事を、改めて実感した。

シンポに先立つ三月十九日、関西や首都圏の患者と家族の会の方々を、壊滅状態の名取市閖上(ゆりあげ)地区や石巻市の門脇地区、雲雀野(ひばりの)がれき処分場、プロジェクトが指摘しアスベスト対策のされたビル解体現場などを現地全労協の案内で視察して頂き「アスベスト被害のない被災地の復興」を共有でき有意義な取り組みであった。

(宮城全労協 大内忠雄)


アスベスト 被災地に潜むリスク(1) クローズアップ東北 2013年4月12日 放送


アスベスト 被災地に潜むリスク(2) クローズアップ東北 2013年4月12日 放送



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