宮城全労協(東日本大震災10年にあたって) / 全労協新聞 2021年4月号
宮城全労協(東日本大震災10年にあたって)
復興政策を問い直し
「次の10年」に向かって進もう
被災各県はこの間、気候変動を実感させる台風、暴風雨に直面してきました。さらに昨年来、新型コロナウイルスの感染拡大がつづいています。そのようななかで迎えた「大震災十年」。菅政権は「東京五輪」強行にこだわり、被災地はいま「聖火リレーに揺れています。
一年前、大震災で被災した航空自衛隊松島基地に「聖火」が到着しました。「復興五輪」への戸感いと「新型コロナ」への不安のなかでも、多くの人びとが仙台駅での見学会に繰り出しました。久しぶりの好天に恵まれ、全国各地で人びとが一斉に動き出したときでした。首相と都知事が五輪対応を優先させたことは感染拡大に拍車をかけました。
安倍首相は施政方針演説で「桜を見る会」など疑惑隠しのため「五輪」を連呼していました。プロ・アマを問わずスポーツか被災地を励ましたことは明らかです。しかし、招致を有利にするための「汚染水コントロール」と「復興五輪」であり、そのことが疑念を広げ、被災地を悩ませてきました。いま「東京五輪」は「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し」とされています。安倍・菅政権の愚行です。
復興庁の十年継続が決定されました。「東北の復興なくして日本の再生なし」という言葉が惰性のように繰り返されました。菅首相の施政方針では「大震災復興」は「暮らしの安全・安心」と並列されています。被災現場に圧倒的に不足していたのは「公助」であったという指摘を受けとめる姿勢は、菅首相にはありません。「阪神・淡路大地震」とともに、復興政策を問い直す必要があります。
「災害ユートピアは長くは続かなかった」「資本主義が惨事に便乗して戻ってきた」という議論がありました。再登場した安倍首相は初視察の福島で原発復活を公言しました。復興増税では国民負担を継続する一方、早々と企業負担を廃止、法人税の実質大減税を実施しました。「国土強靭化」は利権の温床となり、自民党支持基盤の再構築をうながす仕掛けとなりました。
「コロナ禍」のいま、政府や財界などか主張する「新常態」や「時間と空間にとらわれない新しい働き方」は何をもたらすでしょうか。
「今日より明日は良くなると信じて生きていく」と詠んだ人がいました。住まいと職と生業、防潮堤と街づくり、避難と原発。「こんなはずではなかった」という被災地からの訴えを胸に、「次の十年」に向かって進もう!
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