アスベスト被害のない被災地復興を / 全労協新聞 2014年3月号 1面から



ない被災地復興を


昨年、アスベスト問題を調査している関西の学生グループや東京労働安全衛生センタた。そ巻、女川地区での調査と解体現場視察に同行した。

アスベスト使用のビルは自治体が発注者となり、解体業者に委託して解体が実施されている。視察した現場は、室内を厚手の特殊なビニールで覆って飛散しない対策をしたうえで、保護用具を着用しながらの作業であった。

解体業者からのヒアリングによると、このように対策を講じているのは一部で、ほとんどの業者はカネが掛かるので手抜きをしているという。は、放射線に対する危険性と防護は多く語られてきたが、アスベスト対策については重要視されていなかった。

東京労働安全衛生センターの仲間たちは、震災直後から現地に入り、アスベストの測定を行い、そのデータを行政に示し続けてきた。当初、震災対策の多忙もあり無視されきたが、ここにきて行政も対策を講じはじめている。センターの啓蒙活動が解体作業における労働者の安全措置や周辺住民の曝露防護に大きな力になっていることを改めて感じるとともに、献身的な活動に敬意を表する。

啓蒙や危険性の周知は、被災地で遅れてきた。今年で十九年目になる阪神淡路大震災時の解体作業でのアスベスト被害が顕在化し、がれき処理などに携わった人々が相次い中皮腫の症状を訴え、労災認定を受けている。東日本大震災で復旧のボランティア活動に参加した人や、地域住民の被災が気にかかる。阪神路大震災の場合は、建物というところでアスベストはある程度封じ込められたが、東日本大震災では津波によって、かなりの量のアスベストが地域に流出、拡散したと思われるからだ。

巻、気仙沼地区での家屋の解体工事とがれき処理作業でのアスベスト対策緊急自主点果」(二月~七月)をまとめた。昨年のデータだが、それによるとアスベストの有無を適切に掲示していた現場は五〇%、防じんマスクなどの保護具の着用を管理する責任者(保護具着用管理者)を選任していた現場は五五・七%、アスベストの有無に関する事前調査を適正に行っていると回答した現場は五九%にとどまったと報告している。

事前調査の不備や適正な防止措置が取られないまま解体されるなど、問題が断続的に発生していたことで労基署が動いたようであるが、しかしあくまでも「自主点検」であり、実態は不明である。



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