(声明) 「GX脱炭素電源法=原発回帰推進法」の成立に抗議する

(声明)
「GX脱炭素電源法=原発回帰推進法」の成立に抗議する 
全労協脱原発に向けて闘い続ける~
 5月31日「GX脱炭素電源法」が参議院本会議において可決成立した。この法案は、「原子力規制法」「原子炉等規制法」「電気事業法」「再処理法」「再生可能エネルギー特措法」を束ねて提出されたものである。どれ一つとっても「規制」とは名ばかりの原発回帰、推進法であり、脱炭素社会の実現を名目にした原発産業の救済法でもある。
  全労協はこれらの法の成立に対して満腔の怒りを込めて抗議する。
 2011年3月11日の東日本大震災によって福島第一原子力発電所の原子炉が破損、放射性物質が飛散し、今なお収束・廃炉の目途はたっていない。しかも事故時に発せられた「原子力緊急事態宣言」は解除されていない。この原発事故により、命と生活そして故郷を奪われ今なお3万人以上の人たちが避難生活を強いられている。このような中で、原発が決して安価で安全なエネルギーではないことが一層明らかになった。しかし今回の「GX脱炭素電源法」では、衆参各約1か月というわずかな期間で6つに束ねられた法案の審議が強行され、福島での公聴会も行われなかった。原発をエネルギー源と位置づけたこの「GX脱炭素電源法」は、福島事故の教訓を蔑ろにした原発回帰推進法である。
 とりわけ「原子力規制法」では、原発活用によって電力の安定供給や脱炭素社会を実現することは「国の責務」とし、産業基盤の維持および事業環境整備などの原子力産業への支援強化が盛り込まれた。私たちから集めた税金によって、原子力事業者の救済が行われるのである。また、運転期間の規定を原子力規制委員会が所管する「原子炉等規制法」から削除し、経済産業省が所管する「電気事業法」へと移し替えた。そして、運転停止中であっても経年劣化が進むことは明らかであるにも関わらず、運転停止期間を運転期間から除外し、原子炉の安全性よりも「電力の安定供給に貢献するか」などの観点が重視されることになった。経済産業省原子力事業者の都合の良いように老朽原発の再稼働も可能となったのである。これは、ドイツをはじめとする世界各地の脱原発の流れと逆行している。
 全労協は、これまでも全国各地において、原発再稼働反対、福島被災者支援などの取り組みを行ってきた。全労協は、これからもこうした脱原発を目指す闘いを強化していく。そして、この原発回帰推進法の廃止を目指して闘いを続ける。
2023年5月31日
国労働組合連絡協議