「シフトによる」は、会社のフリーハンドじゃない! / 全労協新聞 2021年6月号

「シフトによる」は、会社のフリーハンドじゃない! 全労協新聞 2021年6月号

 


#全労協 

Woman直言

「シフトによる」は、会社のフリーハンドじゃない!


 「シフトによる」と契約書に書いてあれぱ、会社が一方的に勤務時間を減らしていいのか!時聞給で働くパート労働者にとって勤務時間削減は死活問題。絶対に許さない!そんな思いで私たちは組合員Aさんと共に高裁で闘っています。

 契約書には勤務時間が「一日八時間、シフトによる」と書かれていますが、Aさんは採用時の面接で週三日・計二十四時間、高齢者のデイサーピス施設で働く約束をして入社。二年間は約束通り働いていました。シフトが減らされたことから、二〇一六年十月に練馬ユ二才ンに加入し、勤務時間を元に戻すことなどを求めて団体交渉を行いました。一定の成果があったものの、会社は四回てせ一方的に団交を打ち切り、代理人を強硬な弁護士に交代。同時に、長期の休み以外、平日は半日勤務しかない児童デイサーピスの施設に不当配転し、勤務時間を半分以下に減らしました。

 会社は勤務時間をさらに減らし、二〇一七年八月には六割削減、九月は九割以上減らし、勤務は月八時間のみ。十月以降は三年半以上、勤務ゼロが続いています。Aさんは日雇い派遺の仕事をし、切り詰めた生活で何とか凌いでいます。会社は介護職から外した理由として、事実無根の非違行為を持ち出し「注意指導しても改まらないから介護職は任せられない」と言い張り、Aさんの生活ぱかりかプライドまで打ち砕いてきたのです。

 闘う労働者を徹底的に潰す構えで、会社は二〇一八年三月、東京地裁に債務不存在確認訴訟を起こしました。週二十四時間、高齢者介護限定の労務の提供、週二十四時間に満たない分の休業手当の支払いなど、組合が団交や労働委員会闘争で要求した項目は、全て債務が存在しないと主張するものです。Aさんは、未払い賃金請求の反訴で対抗しました。

 昨年十一月に判決か出て、会社の債務不存在確認請求は却下。Aさんの主張のうち、二〇一七年の大幅な勤務時間削減の一部は「合理的な理由なくシフトを大幅に削減した場合には、シフトの決定権限の濫用に当たり違法となり得る」として、不払い賃金の支払いを命じました。

 会社は地裁判決を不服として控訴し、闘いの舞台は東京高裁に移りました。「新型コロナで経営が厳しい」と主張し地裁の和解提案には応じなかったのに、弁護士費用を払う余裕はあるのでしょうか。コロナで多くの非正規労働者が解雇されたりシフトを削除されたりして苦境にあえいでいます。私たちの闘いは多くの非正規労働者の生活と誇りを守る闘いでもあります。


「シフトによる」の文言によって会社のやりたい放題を許さないため、団結して最後まで闘い抜きます。

 

練馬全労協
大山理美子