JBLマタハラ最高裁上告棄却 / 全労協新聞 2021年2月号 

JBLマタハラ最高裁上告棄却 全労協新聞 2021年2月号 

 


 

 

JBLマタハラ最高裁上告棄却


被害者が名誉毀損
賠償の不当判決追認


 JBLマタハラ事件で最高裁は昨年十二月九日原告の上告を棄却し、東京高裁判決を追認した。この裁判はとても複雑だ。原告は出産・育児休業取得後に保育園が決まらず、正社員復帰が前提とする制度で週三日の契約社員となったが、一週間後に保育園を見つけて正社員への復帰を求めた。

 しかし正社員復帰は拒否され、女性ユニオン東京に加盟して復帰を求めたが、過去にさかのぼった始末書に署名を求められ、団交も誠実に行わず一年後には雇止めになった。

 原告は会社から在職中に労働番判、雇止め後には「社員ではない」と裁判を起こされ、やむなく反訴、記者会見をした。その記者会見の発言が会社の名誉棄損として一年近く後に訴えられた。都合三件もの裁判を会社から仕掛けられたのだ。

 一審東京地栽は、正社員復帰は認めなかったが、解雇は無効、名誉棄損の裁判も棄却した。ところが東京高裁は、何の事実調べも行わず、地裁・認定を覆し、解雇有効、名誉棄損を認め五五万円の損害賠償を命じた。原告は上告し、最高裁に公正な判決を求める全国からの八八〇団体の署名を届け、育児しなから働き続けられる判決を求めてきた。
 最高裁は女性たちの切実で当たり前の願いを拒否し、上告を棄却したのだ。さらに失業している原告に五五万円もの損害賠償金を払わせるなんて許せない。

 やはり十二月に最高裁で確定した京都朝鮮学校へのヘイトスピーチに対する損害賠償金は五〇万円だった。この事件との比較でもマタハラ判決の異常さがわかる。延滞金がついて膨らんだ損害賠償金の支払いへのカンパも呼びかけられている。こんな判決を認めたら安心して子供を生み働き続けることができない。この最高裁決定には異議を届けたい。

全労協女性委員会)