維新の大阪市廃止に市民がNO! / 全労協新聞 2020年12月号

維新の大阪市廃止に市民がNO! / 全労協新聞 2020年12月号

 


 

維新の大阪市廃止に市民がNO!


多彩な宣伝行動で
維新都構想に反対

 

 十一月一日、大阪市民は僅差(一七、一六七票差)であったが、みむとに維新が主張する「大阪都構想」の是非を問う住民投票に勝利し、「『都構想』はまちがっていた」と開票直後の記者会見で吉村府知事に言わしめることができた。ただし、「大阪都構想」という表現は誤っており、今回の住民投票で問われたのは「大阪市廃止、四つの特別区に分割」の是非を問うものであった。しかし、維新は「都構想」の表現をわざと多用して市民に「賛成が可決されたらすぐにでも大阪が都になるんや」と誤解させて賛成の投票に誘導していた。

 二〇一五年、大阪市民は一度住民投票で否決した。しかし懲りない維新は前回反対の公明を巻き込み、五年経った今年また、「勝つまでジャンケン」を大阪市民に挑んできた。維新の会結党以来一〇年、この「大阪都構想」は一貫して彼らの金看板であった。しかも、府議会は維新単独で、大阪市議会は維新と公明で過半数を制している。

 実際、まだ夏のころは「都構想」の賛否は世論調査で二〇ポイントほどもあけられていた。五年前でも約一万票差の勝利であったことを思うと、今回の投票はさらに厳しい事態を予想していた。しかし、投票一ヵ月前で約一〇ポイント差、二週間前で約五ポイント差に縮まってきていることを知ると、少し光が見えてきた思いだった。

 そのような世論の変化の背景には、住民に対する行政からの説明不足や説明の公平性への疑問かあるが、なんといっても市民の最大の不安は維新が隠そうとしていた「大阪市がなくなること」であった。投票直前までそのこと自体を知らない市民が多かったのだ。「試しにやってみてアカンかったらまた戻したらええ」という声も多かったが、今回の投票は後戻りのできない片道切符である。永久に元には戻れない。最後の止めとなったのがラスト一週間になってからの「毎年二一八億円のコスト増」の発覚である。

 市民の反発はターミナル街宣や小さな路地に入り込んでの練り歩きなどの宣伝行動で「わしらこの辺のもんはみんな反対やで」「大阪市がなくなるなんて知らんかったわー」などの市民からの声掛けでも実感できた。中には、「公明党員やけど、これはア力ン。反対や」と言ってくれる人もいた。大阪全労協も一連の宜伝行動に精力的に取り組み、連合大阪、大阪労運もそれぞれの系列団体とともに取り組んでいた。しかし、開票後一週間も経たぬうちに維新は新たに「行政一元化による総合区構想」なるものをぶち上げ始めている。彼らの狙いは行政の在り方ではない。年二〇〇〇億円の税金を注ぎ込んでのカジノ・万博利権である。新自由主義の権化である維新という政治勢力を一掃しないことには、非正規労働者、女性、マイノリティ、外国人にとって住みやすい大阪にはならない。私たちは労働運動の最重要課題として今後とも推新追撃に全力を挙げて闘う。

(大阪全労協・竹林)