女性の労働権確立と均等待遇実現へ闘う / 全労協新聞 2020年11月号

女性の労働権確立と均等待遇実現へ闘う / 全労協新聞 2020年11月号

 


 

全労協常任幹事退任にあたって

女性の労働権確立と
均等待遇実現へ闘う

常任幹事 柚木 康子


 一九九〇年の全労協第二回大会で常任幹事に就任してから三十年、三二回大会を持って退任した。

 この間女性の労働権の確立、均等待遇の実現にむけて組合の内外で、日本の女性労働を国際基準にと活動してきた。しかし女性は、正社員で働き続けることが困難な労働環境、派遺法の度重なる改悪、非正規化促進の結果、五六%余が非正規労働者となり、低賃金、低労働条件を押しつけられてきた。

 十月十三日と十五日に最高裁で出された労働契約法二〇条をもとに差別是正を闘う非正規裁判の判決は、女性原告と男性原告で明暗が分かれた。女性が原告の裁判は上告受理・弁論となったのは、メトロコマース事件は退職金、大阪医大事件は賞与と休職中の賃金で主に労働の対価である賃金にかかわるものであり、高裁が認めた四分の一の退職金、六割の賞与支給を棄却した。

 一方、郵政事件は住居手当、扶養手当、年末年始勤務手当、夏期・冬期休『有給の病気休暇など手当に関するものであり、上告受理・弁論を実施したものすべてを認めた。大きな賃金格差の中、手当部分を是正させた意味は大きい、郵便局に働く十九万人の非正規労働者にとっても影響する勝利だ。

 だが、最高裁は、労働の対価である貢金本体については企業の裁量を優先し、手当は許容するという姿勢を示したのだ。正規職場でも住居手当や扶養手当を女性が受け取ることは少ない。その結果男性の年収が増え、結局年金額にも大きな差がつき、死ぬまで格差は続くのだ。最高裁の判断は性差別でもある。同一労働同一賃金の実現、欧米並みの八五%の賃金にという前政権のスローガンさえ認めず、臨時と正規の差別を争った丸子警報器事件の八割基準すら後退させた。闘いは振り出しに戻ったようだ。

 常任幹事は退任したが、女性の労働権を確立し、ジェンダー平等度一二一位というお粗末な状況を変えるために、金労協の一員として、女性NGOのメンバーとして今しぱらく活動を続ける予定だ。長いことお世話になりました。