全労協 第32回大会報告 / 全労協新聞 2020年11月号

全労協 第32回大会報告全労協新聞 2020年11月号

 


 
全国労働組合連絡協議会 第32回大会報告
非正規労働者の処遇改善ヘ
官民連帯で均等待遇実現を
多くの労働者を全労協

 

 全労協三二回定期全国大会は十月三日、東京において開催され、二〇年度の闘う方針を決定した。また、三二期役員体制(別表)を選出した。

 年初来続く新型コロナ感染症の拡大に伴い、感染防止に最大限注意を払って開催することが求められ、例年と大きく異なる形と運営を取ることとなった。通常であれば二日間にわたって開催し、宿伯・懇親を挟みながら、地方からの代議員・傍聴者と旧交を温め、また、細かな情報交流の機会として大変貴重な時間を作ってきた。しかし、今大会はコロナ禍ということで開催を一日に短縮し、また傍聴を中止して感染防止に最大限の対策を取ることとなった。加えて、首都圏の代議員には会場に出席をお願いし、地方の代議員にはリモート出席をお願いして開催した。その点、多くの労組、組合員の仲間にはご不便とご迷惑をおかけすることになりお詫びするとともに、大会成功に向けたご協力に心から惑謝いたします。

 大会はまず、江森副議長(東京清掃労組副委員長)が開会の挨拶に立ち「コロナ禍中、安倍政権は退陣し、菅新内閣が発足した。あらたな情勢に入ったが全労協はしっかり労働者のためにガンバロウ」と述べ、議長団に高野飛烏代議員(東京清掃労組)、青柳義則代議員(国労)を指名し、全員の拍手で確認して議事に移った。議長団を代表して高野さんは今年度から全労協青年委員会代表に就任したことの報告も交えながら大会運営への協力を訴えて議事を進行した。

 渡邉洋議長は常任幹事会を代表して「労働戦線の再編から三〇年が経過したが、コロナ禍で労働運動にも大きな影響がでている。非正規の労働者は厳しい状況にある。労働運動の存在感が薄れていると言われる中、労働組合の責務は大変大きい。全労協はその任務をまっとうしよう』と挨拶が行われた。
 続いで中村大会書記長からコロナ禍のため、今大会には参加をご遠慮頂いた来賓、諸団体からのメッセージ集が紹介され、その後、資格蕃査委員会の小泉代議員から、出席代議員四七人、リモート出席者一六人、委任状二五人で大会が成立していることが宣言された。

 議事は中岡事務局長から大会議案、補充議案、スローガン修正、規約改定の提案が行われ、久保事務局次長から決算報告・予算案の提案、藤村会計監査から監査報告が行われ、財政小委員会の設置と別室での質疑が承認された。


全国からリモート参加

 

 討論ほ最初にリモートで参加していた京都総評・服部代議員からコロナ状況に対応する全国一斉労働相談についてに早急に具体化するように要請が行われ、郵政ユニオンの代議員である日巻委員長から、十月十五日に予定されている労契法二〇条裁判の最高裁判決をしっかり闘い取り、全国の職場の非正規労働者に処遇改善を拡大させる集団訴訟の闘いが報告された。
 全統一労組の佐々木代議員は、移住労働者に対する野蛮な人権を無視した入管行政への批判と更に逃亡罪や送還忌避罪など、新たに人権を抑圧する新法の制定策動との闘いが訴えられた。

 東京全労協の代議員として、ユナイテッド航空被解雇者の千田さんと、全国一般全国協の代議員として古良さんからユナイテッド航空争議への支援が訴えられた。
 大阪全労協の丹羽代議員からは大阪椎新の会が進める、大阪都構想住民投票を成立させないための取り組み報告と関西電力大飯原発再稼働阻止の取り組みが報告された。

 続いてユニ方ンネット「お互いさまの高橋代議員は労契法十八条による非正規労働者の無期転換を嫌った日本通運の雇い止めと闘っている仲間に、東京地裁不当判決を出したこと、今後も高裁へと闘いを進める事が報告された。

 全労協退職者ユニオンの瀧代議員は福島原発事故の避難者に対する国と東電の理不尽な対応への闘い、全石油昭和シェル労組の争議解決金の供出によって運営され、裁判闘争などへの財政的支援を行っているSLU基金をもっと活用して闘いを広げようと訴えた。

 ユニオンネット埼玉の村上代議員からはアスペスト被害の補償と、再びこうした被害を起こさせないために新法の制定を求めていこうとの訴えが行われた。

 神奈川県共闘の小内代議員はJAL不当解雇撤回闘争に絡み、神奈川でも支援する会が結成され、八月にはシンポジュームも開催して闘いを強化していることが報告された。

 電通労組の日野代議員はリモート参加を通じて、宮城・女川原発の再稼働阻止の取り組みの現状報告が行われ、また、仙台高裁は福島第一原発事故の保障について、国と東電の貴任を厳しく糾弾した判決が出されたことを報告した。

 続いて発言に立ったのは全水道東水労の水野代議員は東京都の下水道について処理場が外部委託の提案が行われていること、人員の補充も行われない合理化との闘いについて報告された。

 全国一般全国協の代議員として東京労組の斉藤さんはバスの運転手の立場から、過酷な勤務状況と国交省など行政との交渉か報告され、キーワーカーとしてコロナ禍での厳しい勤務と劣悪な労働条件の改善の必要性が訴えられた。

 東京全労協三多摩プロックの朝倉代議員は労働相談を行政と協力して行っていること、また相談が多く寄せられていることか報告された。

 東京北区ユニオンの西村代議員はコロナ禍で会議運営など様々な工夫が必要となっている。三密を避けてリモート等を駆使していること、また、菅新内閣が発足し、高支持率の中で解散総選挙も言われている。選挙闘争をしっかり闘おうと訴えた。


議案・役員案を満場一致採択


 全体討論の中で、全労協女性委員会から柚木常任幹事は日本のジェンダーギャップ指数が世界121位という現状、自民党杉田議員の女性蔑視発言などを取り上げ、日本社会の女性差別のを撤廃する闘いと共同して闘うことが訴えられた。

 一五人の発言を受けて、中岡事務局長は「JAL、ユナイテッド争議や労契法二〇条・十八条裁判、関西生コン事件への弾圧反対など、全ての争議支援に全力を挙げるのが全労協の持ち味である。韓国サンケン労組の闘いや技能実習生の闘いも果敢に闘われている。全ての争議に勝利しよう。また、コロナ禍、困窮している労働者の相談を受けるために十一月あるいは十二月に全国一斉の労働相談を行う。できるだけ早く具体案を提示し皆さんの協力を求めたい。」「労契法二〇条の最高裁判決が出るが、職場での攻防が重要であり、全ての職場で要求と闘いを拡大していく。来春闘には早急に21けんり春闘を立ち上げ、最賃引き上げとともに強力な闘いをつくっていく。そして一人でも多くの労働者を全労協の仲間に迎え入れよう。」と総括答弁を行い、満場一致で総括・方針案を採択した。

 総括方針案の採択後、久保書記次長より財政小委員会の報告が行われ、一九年度決算報告、二〇年度予算案も採決に移り満場一致で承認された。その後、役員選考委員会和田委員長から全労協二〇年度の役員体制の審議報告が別表のように報告され、大きな拍手で満場一致、確認された。

 大会の最後に大会宣言と議案が提案された。大会宣言は竹林常任幹事から提案され、これも満場一致で採択・確認された。全ての議事を終え、議長団よりメインスローガンの確認が行われ、青柳議長からは進行協力のお礼と全労協発展にともに力を合わせようと挨拶があり、大会役員も解任され第三二回定期全国大会は成功裏に終了した。

 最後に全労協三二期(二〇年度)役員を代表して渡邉洋議長から常任幹事を退任する柚木さんと、新たに常任幹事就任した藤村さんが紹介され、一言づつ挨拶を受けた。会場からはお礼と慰労、激励の拍手が送られた。

 新役員体制を代表して渡邉議長は「コロナ禍と新しい『働き方』改革など厳しい時代に直面しているが、非正規労働者の処遇改善は待ったなしである。官民運帯して均等待遇実現に全力を挙げるとともに、安倍政治の継承を掲げて民主主義の破壊を進めようとする菅内閣を許さない闘いに全力を挙げよう」と決意が述べられた。

 最後に佐藤副議長から閉会の挨拶を受け、会場とリモート参加者は渡邉議長の音頭に声を合わせて団結ガンバローを行った。コロナ禍の大会という特別な状況の下で、ガンバローも一度のみとなったが、リモート参加と会場参加を併用して開催するという難しい運営をこなして成功させることができた。組合員の皆さんには傍聴を遠慮していただき改めて感謝するとともに、技術を担当した中川常任幹事と書記局の山崎さんの努力に感謝したい。

全労協事務局長 中岡基明)

 

****

リモートで大会に参加して

積極的な闘いを


代議員(京都総評)服部恭子


 全労協大会には初参加でしたので従来の大会との比較はできませんか、技術的な面では、音か途切れがちで厳しかったかなと思います。中央の発言者マイクはまずまず聞き取れましたが、議長団や会場内発言者のマイクが特に聞き取りにくかったです。運営面では、時間が短かったのと傍聴制限の関係でしょうが、争議報告か少なかったのではないかと恩います。

 

 議案全体としては、コロナ禍の中で、闘う労働組合の役割がますます重要になっていることが確認されたと思いまず。社会的に存在が認知されるように積極的に打って出ることが重要だと実惑しました。ナショナルセンターとしてコロナ禍に立ち向かう全国的な運動の推進を期侍します。