郵政更衣時間裁判完全勝利の和解 / 全労協新聞 2020年7月号
静岡県共闘
郵政更衣時間裁判完全勝利の和解
四月十四日、静岡地方裁判所浜松支部において「郵政更衣時間裁判」の和解が成立した。
日本郵便とゆうちょ銀行で働く三人の原告組合員らは、被告二社に対して、ユニフォームでの通勤を禁止していたこと、そして、「事業所内(更衣室)での更衣を義務づけていた」ことを、実質的に認めさせた。
これにより、被告二社においては、①ユニフォーム着用が就業規則で義務づけられている②更衣が仕事の準備行為である③会社内所定の場所(更衣室)で更衣せざるを得ないという二〇〇〇年三月の最高裁判例の要件を十分に満たすこととなり、更衣が、会社の指揮命令下に置かれることで、労働基準法上の労働時間にあたることが鮮明となった。
そして、会社のこれまでの立場である「更衣自体は仕事ではない。勤務中に更衣することは服務規律違反。社員は始業時刻定刻までに出勤し、始業時刻には仕事に着手できる状態でなければならない」という立場を大転換せざるをえなくなった。
裁判闘争における被告二社の手法は、虚偽、隠ぺい、ねつ造であった。会社の内部規定である「会計業務マニュアル」を裁判中に突如、改訂までして事実を隠そうとしたり、職場に貼りだしてあった「制服通勤禁止ポスター」を、これまた裁判中に説明なく撤去するなど、裁判を有利にすすめようと悪質な行為を繰り返した。
これらの動向も踏まえ、裁判所をして、被告二社を和解協議のテーブルにつかせたのである。
地裁段階で四年間も要した裁判闘争の成果は、全国の郵政ユニオンの仲間や地域の労働組合の支えがあったからこそであり、何よりも献身的に活動していただいた、はままつ共同法律事務所の三人の弁護団の皆さんには深く感謝する。