寿日雇労働者組合(神奈川県共闘) / 全労協新聞 2020年6月号

寿日雇労働者組合(神奈川県共闘) / 全労協新聞 2020年6月号

 


コロナ禍と緊急事態宣言下で声を上げる全国のなかまたち 


 

寿日雇労働者組合(神奈川県共闘)
命を守れ!緊急行動
支援物資、生活相談

 

新型コロナウイルス肺炎(COVID‐19)の大流行化、全国各地で命を守る取り組みが行われているが、ここ横浜寿地区から神奈川県の対策=県立武道館開放に対する取り組みについて報告する。県は緊急事態宣言による都内、県内ネットカフェの休業に伴い宿泊場所を失った人びとに対して県立武道館(横浜市港北区岸根)を四月十一日に開放した。受け入れ人員は八十人が上限で、冷暖房のない広い柔道場・剣道場に三mの間隔をあけて寝泊まりを行うというもので、これは二〇一一年東日本大震災からの避難者を同じ武道館で受け入れた時と全く同じである。開設当初は冷え込む夜もあったようで、屋根さえあればいいものではないと思う。また支援物資の受け入れにも様々制限があり、炊き出しを届けることはできなかった。

 

結局、武道館開放は五月六日をもって終了し、最大で七六人、延べ一二〇人が利用したとされている。確定ではないものの、このうち生活保護受給十人、無料定額宿泊所へ四〇人、また県営住宅へ入居した人もいたようだ。

 

われわれの取り組みは、四月十七日地域諸団体(寿炊き出しの会、寿医療班、寿越冬闘争実行委その他)と共に緊急会議を行い、四月二十日神奈川県と横浜市に「緊急要求書」を提出し行動を開始した。その主な内容は、武道館対応の改善をはじめとして、困窮者支援、雇用対策、医療、福祉対策を含むものである。

 

具体的な活動としては、四月二十五日武道館への避難に対する支援物資(災害用ビスケット、消毒液、体温計、カイロ)提供をはじめとして閉鎖翌日の退所日(五月七日)まで計五回にわたって集中支援活動を行った。その内二回は武道館前で緊急相談会を開いて、退所後の行き先や医療等についていろいろ話を聞くこともできた。マスコミの関心も高く、特に退所日にはテレビ、新聞が数社取材を行っていた。

 

今回の活動についてはいずれ反省会を持ち県と横浜市に報告と改善を求める予定である。

 

特に県に対しては空調もない武道館をなぜ避難所として選定したのかを含め厳しく追及する必要があると考えている。

 

更に、今回の取り組みの中で県職員による重大な妨害行為が行われたことも合わせて報告しておこう。それは、最初の緊急相談会をフェンスの外という武道館敷地外で行っていたわれわれに対してある職員が「止めてください。止めなければ警察を呼ぶ」と言って実際警官を呼んだ件である!やってきた三人の警官は「トラブルもないのに」と怪訝な顔をして帰っていった。この点に関しては、県には厳しい反省をしてもらわねばならないが、その上で避難所整備はじめ対策の全般的な強化を要求していかねばならない。

 

今後、地震や水害だけでなく今回のような疾病など社会生活が破綻に追い込まれる事態が頻発することは明らかで、労働組合は労働問題への取り組みだけではその役割を責任もって果たすことが難しくなっていくということを今回考えさせられた。ますます地域の人びととの協力―共闘を地域の一員である労働組合として積み重ねていく決意である。

 

(寿日雇労働者組合近藤昇)

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