休校で非正規の不利益を許さない / 全労協新聞 2020年4月号
大阪教育合同労組
休校で非正規の不利益を許さない
二月二十七日、政府発表に先立って、大阪市・堺市は二十九日から三月十三日まで幼小中学校を、大阪府は三月二日から四月の始業式まで府立学校を休校にすると決めました。その後、安倍首相の「二日から春休みまで」の全国一斉休校要請を受けて、翌二十八日に文科省から都道府県教委へ通知がだされ、現場は大混乱に陥りました。
正規の教職員については通常勤務となりますが、問題は非正規職員の取り扱いです。授業がなくなれば時間給の非常勤講師が無給となる心配があったのです。しかし、各市町村教委からは月額報酬の非常勤嘱託職員は通常勤務となり、次に時間給の非常勤講師、スクールサポーター・ソーシャルワーカー等はあらかじめ割り振られた勤務予定日に授業準備の業務につくということになりました。それが勤務実績としてカウントされ報酬の対象となり、また、特別支援教育サポーター等も同様の扱いとなり不利益を受けることがなくなりました。
突然の休校指示により、現場では卒業式や入試を目前に控え右往左往でした。とりあえず、卒業式は規模、内容を縮小して実施する方向で進んでいますが、例えば、大阪のライブハウスで感染が拡大したということで、閉鎖空間での濃厚接触が問題となり、式場内での歌の斉唱をどうするかということも検討されています。
北海道では知事が二月二十八日に「緊急事態宣言」を打ち出しました。政府の要請で全国の九九%の小中高が休校するという異常な状況の中、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正案が成立し、安倍首相はこれに合わせて「歴史的緊急事態」に指定する方針を示しています。これによって、もし「緊急事態宣言」が出されれば、集会、表現、言論の自由といった憲法で保障された基本的人権が大幅に制限されてしまうおそれがあるのです。安倍首相の政治判断によって引き起こされた今回の大混乱は経済、社会に計り知れない影響を及ぼしています。その狙いを見極め、冷静に行動していく必要があるでしょう。
(山口昌孝執行委員)
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