全労協/ 公立学校への変形労働時間制導入を許さない / 新聞 2020年1月号

全労協公立学校への変形労働時間制導入を許さない / 新聞 2020年1月号

 

公立学校への変形労働時間制導入を許さない

一年単位の
変形労働時間制では
長時間労働は解消しない


都労連副執行委員長
 (都高教執行委員)
菅谷 知由

 

 十二月四日、臨時国会参議院本会議において、教員の働き方改革の推進として、一年単位の変形労働時間制を自治体の判断で導入することができる「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」改正案が与党などの賛成で可決・成立しました。

 

 一年単位の変形労働時間制は、学校行事等で業務量の多い時期(四・六・十・十一月)に週当たり勤務時間を三時間増加させ、閑散期である夏休み期間中の八月に五日程度の「休日」をまとめ取りさせるとするものです。しかし、都立高校の現場では、夏休み期間中に補習・講習や進学指導・就職指導、部活動合宿などの業務があり、「閑散期」ではありません。今回のまとめ取りの「休日」を確実に取れる保障などなく、ただ繁忙期の勤務時間が延長・容認されるだけで、長時間労働の実態は解消されません。また、労基法上は、一年単位の変形労働時間制の導入にあたっては、労使協定の締結を要件としていますが、改正法は勤務条件条例主義を踏まえ、条例により定めることと読み習えるとしており、現場教職員の意向にかかわらす導入の強行が危倶されます。


増える長時間
過密労働


 二〇一六年八月に小池都政が誕生してから、「都庁働き方改革」として、二〇時完全退庁やテレワーク、フレックスタイム制など様々な施策が進められてきました。しかし、都庁職員の残業時間は減るどころか、年々増えており長時間過密労働は深刻な状況が続いています。

 

 都は、「都庁働き方改革」の一環として、二〇一七年六月に国への施策及び予算に対する提案要求で「公務員の働き方改革に向けた勤務条件の弾力化」として、地方公務員に一年単位の変形労働時間制の導入を可能とする地方公務員法の改正等を求めました。その後も毎年、国に要求を続けている状況です。

 

 教育庁も二〇一八年六月から「学校における働き方改革の実現に向けた勤務条件の弾力化」として、一年単位の変形労働時間制の導入を可能とする給特法の改正等を求め続けています。都が一年単位の変形労働時間制の導入に固執しているのは、職員の「ライフ・ワーク・バランス」の推進ではなく、繁忙期に無制限に働かせることにより、見かけ上の残業時間を減らすことを意図している事は明かです。

 

 都労連は、都に対して「国への提案要求を撤回し、八時間労働制を破壊し、長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現に逆行する変形労働時間制を導入しないこと」を要求し続けています。


変形労働導入は
8時間労働制破壊

 

 今後は、各自治体での交渉・協議へと闘いが移ります。変形労働時間制の導入・条例化を許してしまえば、八時間労働制が破壊し、今以上に教職員の健康と生活は脅かされ、児童・生徒・学校教育に大きな影響を及ぼします。この闘いを「真の働き方改革」のスタートとして、組織の強化・拡大をすすめ、変形労働時間制の導入・条例化を阻止し、実効ある長時間労働解消を実現する取り組みが重要となります。