労働法制改悪阻止ヘ 全国キャラバン成功を / 全労協新聞 2018年5月号

労働法制改悪阻止ヘ 全国キャラバン成功を / 全労協新聞 2018年5月号



残業代ゼロ・過労死促進・非正規差別固定化の
労働法制改悪阻止ヘ
全国キャラバン成功を


 四月六日、政府は働き方改革法案を閣議決定、上程し、四月中に審議開始を求めた。ねつ造データ問題で裁量労働制の拡大は引っ込めた政府だが、労働組合や労働弁護団、過労死家族の会の反対の声に耳を貸すことなく、究極の過労死促進法と言われる高度プロ法を含む一括法案である。

 全労協は雇用共同アクションの一員として三月二十六日、同三十日、四月四日に法案を提出するなど衆議院第二議員会館前でアッピール行動を行ない、上程後の十一日昼には国民春闘共闘等による行動に合流し十二時半から議員会館前で廃案を求めて声を上げた。この行動には東部けんり総行動の一行も短時間合流し五〇〇人を大きく超える行動となった。


労政審でも意図的誘導か

 行政府は、公文書の改ざん、「無い」と言っていた自衛隊イラク派兵時の日報が出てくる、財務省事務次官のセクハラ問題発覚など不祥事が続いている。首相や閣僚は不誠実な答弁を続け、まるで底が抜けてしまったような姿をさらしている。こんな内閣で「働き方改革」など審議する資格はない。

 四月十七日付け東京新聞朝刊の「こちら特報部」は、二〇一四年の高度プロ制度の審議において、厚労省のアンケートで労使ともに七割が裁量労働制を「今のままでよい」と答えていたのに、厚労省は一定のニーズがあると残業代ゼロの高度プロ制度の導入に踏み出したと報じた。そのからくりは、裁量労働制を「変えたほうがよい」と笞えた二一%に対し具体的に「どのように変更すべきか」との質問の選択肢は「規制緩和」の選択肢のオンパレードであったことだ。変えたほうがいいを選択した中には当然規制強化を求める声もあったはずだ。裁量労働制のデータ捏造だけでなく、高度プロ制度を俎上に載せるために意図的なアンケートが行われたのだ。


格差賃金容認法案だ

 高度プロ法は長時間労働の削減とは真逆に四週で四日の休日を確保すれば、八週で四八日連続二四時間働かせることが可能となる。こんなことはあり得ないと思うのは当然だが、法律上は可能なのだ。

 長時間労働削減というなら次の始業までのインターバル時間の確保や最低毎週一日の完全な休日が確保されるべきだ。残業上限規制も労使で協定を結べば過労死ラインの月一〇〇時間、六ヵ月で四八〇時間もの残業か可能となる。安全確保から最も規制が必要な自動車運転や医師などが五年も適用除外なのも大問題だ。

 非正規の待遇を改善すると幻想をふりまいた同一労働同一賃金は、身分が違えぱ差別は当然とする「同一労働格差容認法案」だ。三月十五日に日本郵政クループが回笞した「均等侍遇」の中味は、労契法二〇条裁判で比較対象とされた新一般職(四~五年前に導入した区分)の手当を廃止し、非正規社員への支給の道を断つという低位平準化だった。今なお五〇%以上の株を国がもつ日本郵政の回答はア
ペ政権の「同一労働同一賃金」の本音をさらけ出したと言える。


労慟法に生産性向上?

 さらに一括法案には雇用対策法の一部改訂があり、労働側の反対にもかかわらす、目的に「労働生産性の向上等を促進し」と書き込まれ、また国の施策に「多様な就業形態の普及」も掲げられた。労働者の権利、命、暮らしを守るのが労働法であり、厚労省は目を覚ませ!といいたい。

 全労協は多くの仲間と『働き方改革』法案/労働法制改悪を阻止する全国キャラバンに参加する。四月十七日には連合会館会議室で出発集会がもたれた。キャラバンは四月二十日に沖縄と北海道帯広から南北のコースで始まり、五月二十二日の日比谷野音集会(労働弁護団主催)で終結する。各地でアベ政権の「働き方改革」NO!とアベ政権退場を求め声を上げよう!。

 みんなで退陣に追い込もう!

全労協常任幹事 柚木康子)