全労協/ 実習生の解雇・強制帰国許すな / 新聞 2019年11月号

全労協実習生の解雇・強制帰国許すな / 新聞 2019年11月号

 

 

 

スクラムユニオン・ひろしま

中国人技能実習生の
解雇・強制帰国許すな

 

 広島県内の食品工場で働いていた中国人技能実習生のAさんは、実習三年目を迎える直前に解雇になり、強制帰国させられるところであった。二三歳の女性である。支援者の手を借りスクラムユニオン・ひろしまにたどり着いた。

 Aさんは、会社が出してきた「解雇予告通知書」を頭にきて破り捨てた。手書きのメモのような「解雇理由書」に書かれている解雇理由は、いずれも納得のいかないものばかりであった。出勤時間を守らない、あいさつをしない、上司への態度・言葉使いが悪い、持ち場の掃除をしないなどである。「出勤時間を守らない」との会社の主張は「八時始業だが、十分前に会社に来て仕事を始めろ」という指示に従わないことであった。同僚たちは七時五〇分から仕事を始めているが、Aさんは始業前五分前に出勤しており遅刻していないが「始業時間前の労働は賃金にならないから」と八時から仕事を始めていた。ここが、会社の気に入らないところであった。

 Aさんと出会ったのは、翌日の飛行機で帰国させられる、その日に協同組合と銀行の解約に行くという日だった。これは強制帰国であり、身柄を確保する判断で宿泊場所を確保した。寮の荷物を大急ぎで持ち出し、入管、実習機構へ向かった。入管には事情を話し、身柄を保護することを報告し、実習機構に向かった。われわれの説明に、指導課の早田職員は「こういう場合、彼女の身柄は協同組合に渡すべきだ」と主張した。強制帰国を画策した協同組合に渡せというのか。さらに「これまで広島で強制帰国になりかけた実習生案件は三件あり、いずれも実習機構の指導で解決した」といってきた。話にならないと思って帰りかけたところ、上司が出てきて身柄をスクラムユニオンが保護することの確認と実習生の宿泊費、滞在費については責任を持って協同組合に指導する約束になった。

 C食品は、朝十分のサービス残業を強いていただけでなく、毎月六〇時間程度の残業があるが、実習生のタイム力ードを無断で主任が打っていた。当然、残業代は少なくなり、社会保険料を低く抑えるための悪知恵であり、多額の未払い賃金が発生する。さらに、休憩時間のごまかしもある。一日八時間以上働いても三〇分しか休憩時間が与えられていなかった。

 実習生を安価な労働力として扱う企業、協同組合の体質が浮き彫りにされている。休憩時間をこまかし、残業代をごまかして、文句を言えば解雇・強制帰国という、全く労働者の人権を無視した事件として、しっかりと闘っていきたい。