全労協/ 安倍政治をストップ!20けんり春闘をスタート! / 新聞 2019年11月号

 

全労協安倍政治をストップ!20けんり春闘をスタート! / 新聞 2019年11月号

 

 

安倍政治をストップ!20けんり春闘をスタート!

全国労働組合連絡協議会
議長 渡邉 洋

 

 九月十一日、安倍首相は第四次再改造内閣の陣容を発表した。直前の九日に関東地方を襲った台風一五号は、過去にない強風で千葉県を中心に甚大な被害をもたらした。被害は長期の停電へと繋がり住民を苦しめた。

 

 臨時国会は十月四日に開会されたが、特に大きな法案も予定されていないとされている。開会直後の十月十二日から十三日にかけて、今度は台風一九号が中部・関東・東北地方を中心に襲いかかった。台風に伴う膨大な雨は大河川を氾濫させ、一〇〇人近い人命を奪った。

 

 台風はある程度事前に被害の予測可能であるにもかかわらず、政権による自らの政治日程優先が被害を拡大させたとの指摘もある。労働者市民のいのちと生活そっちのけで、改憲に向けて暴走する安倍政権を止めるのは、労働組合の闘いなくしてあり得ない。そのことを肝に銘じて、安倍政治を止める闘い、20けんり春闘の取り組みをスタートさせよう。


お友だちは「ホコリ」だらけ


 今回、初入閣が過去最高の一三人、これは「在庫一掃」の表れであり、加計疑惑の渦中にある萩生田文科相、極右団体との接点が噂される高市総務相ご飯論法で勇名を馳せた加藤厚労相をはじめ、安倍首相と「相性」の良いイエスマンで固められた。唯一「例外」とされる小泉環境相は、ニュースキャスターとの結婚による人気が目当てとされている。


 早速、菅原経産相有権者買収疑惑が発覚し辞任した。さらに、公選法違反疑惑で河井法相も辞任した。また、稲田自民党幹事長代行と関西電力との癒着問題も浮上している。野党議員の国会質問事前通告内容が第三者に漏れた問題では、官邸の関与を疑わざるを得ない。おそらく叩けばほこりだらけだろう。


改憲に突き進む安倍政権

 

 そんな中でも安倍政権は、現在のところ比較的高支持率を保っている。ラグビーワールドカップ天皇代替わりの儀式等の「お祭り騒ぎ」が都合の悪い情報をかき消しているかのようだ。「あいちトリエンナーレ」を巡っては、政権に近い名古屋市長らが右翼、歴史修正主義者を煽って、表現の自由の抑圧を是認する潮流に火をつけた。

 

 こうした世論動向を睨みながら、改憲への手順が進められている。自民党は、国民投票法改正案を持ち出して憲法審査会の審議入りを強行しようとしている。自衛隊のホルムズ海峡派遣も改憲への布石となるだろう。

 総がかり行動の取り組みを総力で改功させよう。

 

浮上してきた労働法制改悪の動き


 政府は十月十八日、教職員給与特別措置法(給特法)改正案を閣議決定した。公立学校の教員の長時間労働問題に対応するために、夏休みに休日を集中するなど年間を通じての変形労働時間制を可能にするものだ。しかしこれは、業務繁忙の実態を解消するというものではなく、むしろ長時間労働の集中を黙認し推進する性格を持っている。労働基準法上の変形労働時間が労便合意を前提としているのに対して、条例主義での制度適用が可能となるため、現場の声はより遠くなる。

 

 また、厚労省は未払賃金の請求可能期間について、現行の二年を三年に延長する検討に入った。これは、来年四月の改正民法施行で賃金に関する債権の消滅時効が五年となるのに対応するもの。民法労基法の期限が違うのは、企業経営の負担が過大にならないようにとの配慮とされているが、労基法の基本である労僕者保護の性格を損なうものだ。引き続き雇用共同アクションに結集し、労働法制改悪を許さない闘いを進めよう。

 

公務公共サービスの充実を


 今回の台風では、災害時の公務公共サービスの重要性が改めて問われることとなった。今日なお多くの自治体で、懸命のライフライン復旧作業、避難住民への生活支援が続けられ、自治体労働者の不眠不休の奮闘が続けられている。その一方で、民営化推進論者が安上がりな自治体経営を標榜し、更なる人員削減を画策している。

 

 秋の各自治体賃金確定闘争を通じて、公務公共サービスのさらなる切り捨てを許さない闘いを進めよう。