全労協/ 職場・地域から19春闘を闘おう! / 新聞 2019年4月号

全労協職場・地域から19春闘を闘おう!  / 新聞 2019年4月号




職場・地域から19春闘を闘おう! 
中小・非正規労働者の怒りを体現する闘いを組織しよう! 


三月十三日の大手集中回答日、運輸や外食産業など、人手不足の影響の大きい業界では一定の成果が出たとの報道もあるが、自動車、電機など春闘相場を主導する輸出産業では、六年連続のベースアップとなったものの、軒並み前年割れの低水準となった。世界経済の先行きの不透明さを目の当たりにして、労使共にベアに尻込みしたとも言われる。

もちろん、私たちの要求がすべて通るわけではないが、マスコミに「尻込み」などと書かれることは、労働組合として最大の屈辱だ。労働組合の闘いの構造に問題があると総括すべきだろう。

六年連続ベアとはいえ、実質賃金は毎年目減りし、雇用への不安は払拭されず、将来を見据えた生活設計もままならない。経済は好転し勤労者の生活は上向いているという政府の宣伝は、毎月勤労統計の不正の上に描かれたものだった。私たちの生活実感の方が統計よりも正しかったのだ。

労働者の生活を痛めつける材料は十分すぎるにもかかわらず、労働組合がこうした事実への「怒り」を体現する闘いを組織化できていない。多くの労働組合が、街頭でのデモンストレーションやストライキ戦術を構えられなくなっている。闘う姿の埋没が「尻込み」という表現を導き出している。

民間大手の春闘結果を受けて、中小の春闘が本格化している。大手の闘いは不十分だが、その結果を引き受けつつも、限界を克服して新たな成果を勝ち取らなければならない。

昨年末、練馬区立図書館専門員労働組合が、民間委託(指定管理者拡大)に反対してストライキを構えて区当局との交渉に臨んだ。越年の闘いの結果、指定管理者の拡大撤回には至らなかったが、雇用確保と図書館機能のサービスが維持できる回答を引き出した。この闘いは全国的に注目され共感を呼んだ。多くの労組、地域住民が闘いを支え、マスコミ報道も概ね労組に好意的だった。

情勢に臆することなく要求を掲げること、労働者の処遇改善が公共サービスの改善と結合していること、すなわち自らの闘いが社会へと波及していくことへの確信が、この闘いを支えた。この確信の重要性は、民間職場であってもまったく変わらない。

日本郵便メトロコマースで労働契約法二〇条裁判が争われ、相次いで高裁判決が出された。判決は、非正規格差を不合理と認め是正を求める内容も一部含むが、全体で見れば非正規格差を容認する内容であり、極めて不十分だ。非正規であっても仕事への責任は正社員と変わらない。仕事に誇りを持つ者として、人間としての尊厳をかけて、それぞれ控訴審に闘いが引き継がれていく。

一方、東京メトロの駅構内清掃等を受託するメトロセルビスで、非正規が五万円の期末手当を勝ち取るという前進を勝ち取ったことは、着実で重要な前進だ。この前進面を共有化し、地域に波及させていこう。

19春闘と平行して、沖縄・辺野古の新基地建設を巡り、激しい闘いが繰り広げられている。県民投票で示された圧倒的世論を無視して土砂投入が続けられている。福島原発事故の記憶の風化を見透かしたように、原発再稼働の動きが強められている。中西経団連会長は「感情的な反対をする人たちと議論をしても意味がない。」とうそぶき、原発に不安を募らせる人びととの対話を拒絶している。安倍首相の改憲への野望は衰えることがない。こうした状況を巻き込みつつ、春闘後半の闘いに突入していく。

情勢がいかにあろうとも、労働組合は労働者の生活実感に依拠した賃上げ要求を敢然と掲げるべきだ。「春闘の終焉」などと言わせない闘いを展開しよう。