全労協/ 暴走する安倍政治を許すな! / 全労協新聞 2018年7月号

全労協暴走する安倍政治を許すな! / 全労協新聞 2018年7月号

暴走する安倍政治を許すな!

過労死を促進する
働き方改革法案を廃案ヘ
首切り自由を許さない


 国会の会期が七月二十二日まで延長されることになった。会期を延長してまで成立を目指す法案は、過労死を促進させる「働き方改革」関連一括法案や刑法が禁じる賭博場・カジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)整備法案などである。

 会期内に成立させることができなかった要因として、確かに今国会では、森友・加計学園問題や、財務省の前事務次官によるセクハラ問題などをめぐって国会審議が止まり政権与党の思感どおりに進まなかったこともあるが、雇用共同アクションなどの取り組みなど、国会内外における連携した闘いの成果も無視できないと思う。

 安倍首相が「最大のチャレンジ」として、今国会の重要法案と位置づけられている「働き方改革」関連一括法案には、一定の要件を満たした労働者には労働基準法の労働時間、休日、割増賃金に関する規定の適用を排除する高度プロフェッショナル制度が盛り込まれている。

 この高プロ制度に適用される労働者には、「年一〇四日以上、四週間で四日」の休日を与える健康確保措置が企業に義務づけられるが、逆に四日間の休日があれぱ残る二四日は二四時間働かせても違法にはならない。またこの法案では高プロ対象者の時間的な裁量や、業務量の裁量はどこにもなく、働き手は業務命令を断れない。

 加藤厚労相はニーズ把握の手法を問われ、労働時間規制を外すことに肯定的な労働者十二人労働者の意見があると説明した。ところが五月二十五日の衆議院厚生労働委員会で、十二人の労働者ニーズのヒアリングがすべて法案作成後に行われた「後付け」で、ニーズがゼロだったことが判明し、高プロの対象となりそうな労働者の実態把握も進んでいない。

 また厚労省は五月十四日の参議院厚生労働委員会で、高プロの適用条件の一つである年収(一〇七五万円以上の計算に、通勤手当なども含まれるとの見解を示した。年収条件は、対象を会社側と交渉力のある「高収入の働き手」に限るためのものだか、手当を除いた賃金がより低い水準の人も適用され可能性かある。

 そもそも財界は二〇一五年当時、「高プロの対象範囲が狭すぎる」と不満をもらしていた。これに対して当時厚労相だった塩崎大臣は将来的な対象拡大に含みを持たせることで理解を求めたといわれている。


過労死激増の高プロ制度


 この制度の導入について、労働組合、過労死を考える家族の会、法律家団体などはもとより、世論調査などでも「今の国会で成立させる必要はない」と、七割ちかい国民が法案の必要性に疑問を示している。

 労働時間データのねつ造などに基づく、過労死を激増させる高度プロフェッショナル制度と、時間外労働と休日労働の上限の「月一〇〇時間未満」、「二~六か月で、一か月当たり平均八〇時間」は、過労死ラインの残業を労働基準法で認めることであり、とうてい容認できない。延長国会でわれわれは「働き方改革」一括法案を撤回させ廃案に追い込むための闘いを強めなければならない。

 「解雇無効時の金銭解決」(不当解雇も金銭解決)法案が迫ってきている。

 裁判所で「不当解雇」が認められても職場復帰はかなえられず、金銭で放り出される「解雇無効時の金銭救済制度」を法的な観点から議論する学識者検討会(委員六人)が発足し、六月十二日に厚生労働省で初会合を開いた。

 昨年五月に有識者検討会(委員二二人)が約一年半にわたる議論の末に取りまとめた「報告書」を踏まえ、「裁判の無効判決とは別に、労働者側が金銭救済を求め、企業側が応じれば労働契約を終える裁判外の解決」を中心に、その際の法技術的な整備のあり方などを検討する。「首切り自由」の法律が動き始めた。  

(金澤壽議長)