全労協/ 労働基準法破壊の暴挙を許さない! / 全労協新聞 2018年6月号

全労協労働基準法破壊の暴挙を許さない! / 全労協新聞 2018年6月号


審議不十分のまま「働かせ方改悪」法案を強行採決
労働基準法破壊の暴挙を許さない!

雇用共同アクション、労働弁護団、過労死家族の会とともに
働き方改革」法案廃案へ闘争強化!


 五月二十五日、与党は一部野党を抱きこんで「働き方改革」法案の衆議院厚労委会採決を強行した。過労死の根絶を求めて遺影とともに委員会を見守る過労死家族の面前で。許し難い暴挙だ。

 裁量労働制の方が一般労働者より労働時間が短いという首相・厚労相答弁根拠がねつ造データであることか発覚し、政府は裁量労働制拡大を法案から削除した。しかし高度プロフェッショナル制度の削除には応じず四月二十七日「働き方改革一括法案」審議入りを強行した 。

 五月二日も野党不在のまま厚労委員会を開催、質疑時間を消化させた。五月九日から野党出席で審議、野党対案も提出された。しかし野党議員の質問に厚労大臣はまともに応えず、審議の出発点である労働時間データは二割も不備が見つかり、強行採決された二十五日朝にもデータの不備が見つかるという信じられない状況であった。

 委員会では、特例の残業上限規制(単月一〇〇時間、2~6カ月平均八〇時間)では月をまたげば三〇日間で一五〇時間以上の残業が可能となること、高度プロ法の必要性について加藤大臣が意見を聞いたのは十二人、四週四日の休日をまとめて取らせれば一日二四時間労働を四八日間連続することも可能な事が明確に。さらに労働時間管理がされないため、亡くなっても労災認定も損害賠償請求も困難で死んだのは自己責任となり、「過労死」は減少と言うことになりかねないとの追及にも真摯な答弁はなかった。

 五月二十二日午前は参考人質疑かあり、過労死家族の会の代表寺西笑子さんが高度プロ法は過労死を促進すると削除を強く求めた。全労連岩橋副議長も高度プロ制度は現代の奴隷労働だと削除を求め、残業上限は月四五時間、年間三六〇時間とすべきとした。連合神津会長も高度プロ制度は実施すべきでないと表明した。

 政府は二十三日採決を狙っていたが、職権で委員会開催を強行する高鳥厚労委員長の解任決議案が提出され採決はなくなった。

 二十五日は高烏委員長が職権で九時から委員会が開いたが、九時四五分加藤厚労大臣の不信任決議案が衆議院議長に提出され、委員会は休憩となった。午後衆議院本会議で不信任案は否決、夕方再開された厚労委員会は多くの傍聴者と過労死家族の面前で強行採決が行われた。

 八つの法律による一括法案は、データの不備、詳細は省令でという法案の不備、真摯とは言い難い首相・大臣の答弁、全く不十分な審議時間のまま委員会を通過した。こんな審議で労働基準法の労働時間規制を受けない労働者を生みだすことを到底認めることはできない。

 全労協は雇用共同アクションの一員として審議入り以降、議員会館前行勣・傍聴を行い、全国キャラバンを展開、高度プロ法廃案、上限規制の強化などを求め闘った。また労働弁護団主催の院内集会や日比谷野音集会、五月二十二日、二十三日過労死家族の会が首相面談を求める官邸前座り込みにも参加した。二十五日も議員会館前でも強行採決をするなと声を上げ、委員会傍聴に取り組んだ。六月舞台は参議院に移る。きちんとした審議を求め、労働基準法の破壊を食い止めよう。