全労協/ 過労死も自己責任の高プロ法は廃止! / 全労協新聞 2018年7月号

全労協過労死も自己責任の高プロ法は廃止! / 全労協新聞 2018年7月号

働き方改革法案廃案を

過労死も自己責任の
高プロ法は廃止!



 政府は通常国会最終日の六月二十日に国会を三二日も延長した。二十一日昼に行われた雇用共同アクションの参議院議員会館前集会で、田村智子議員(共産党)は与党が十九日に閉会手続きで議院運営委員会の開催を求めてきたのに、二十日になって延長手続きと初めて言った、詐欺のようなものだが、与党議員は私たちも今朝知ったととぼけたという。どこまでも姑息だ。

 働き方改革法案の参議院審議での高度プロ法案に関する答弁はひどすぎる。大臣が立法事実の根拠に挙げた十二人のヒアリングは、すべて法案要綱ができたあとにアリバイ的に行われたもの、それも人事担当者や果ては関運会社の人事担当も同席したこと、加藤大臣が私も聞いたと答弁しながら自身で聞いたものでもない。すべての労働時間規制が適用されないと説明の上意見を聞いたのかとの福島瑞穂議員の質問にもまともに答えていない。違反があれば高度プロの対象から外れるというが、労働時間の把握義務の無い制度でどうやって、過去の労働時間を把握するのかもはっきりしない。法案は対象業務すら省令によるとするなど細部が不明で、なんと政省令・指針にゆだねる項目が九〇もあるという。これでは国会審議無しに内容の変更が可能となる。

 強行採決した衆議院厚生労働委員会の付帯決議には「改正法施行後、速やかに制度運用の実態調査を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずること」とある。一〇七五万円の年収の引き下げも簡単だ。長時間労働の是正に資するとして働き方改革法案を提案しなから、高度プロ法は長時間労働の是正になるかはケースバイケースだとふざけた大臣笞弁をしている。他の七法案についても十分な議論はされていない。

 国会延長で時間はできたのだから、参議院厚生労働委員会はよりよい法律を作り上げる立場できっちりとした議論をし、必要な修正を行うべきだ。

 全労協は雇用共同アクションの一員として厚労委員会開催日の議員会館前集会や傍聴に取り組み、また労働弁護団や過労死家族の会、野党議員の皆さんと共に、国会パブリックビューインクの上映や街頭宣伝に参加している。上西充子法政大教授の解説のついた厚労委員会審議の国会パブリックピューイングはネット上に公開されているので是非拡げよう。与党は六月二十六日にも厚労委員会での採決を行おうとしており、予断を許さない。与党や厚労大臣へ高プロ廃案、徹底審議を求める声を届けよう!

(労働法制プロジェクト 柚木康子)