政府は高度プロフェッショナル制導入も撤回し、労政審の審議をやり直せ!




政府は高度プロフェッショナル制導入も撤回し、労政審の審議をやり直せ!
野党6党は8時間働いたら暮らせる労働の実現に向けた統一案の策定を!

2018年3月1日

今国会は「働き方改革」国会だと言いながら法案はまだ閣議決定もされていない。しかし衆議院予算委員会では裁量労働制の拡大に関し首相や厚労大臣の発言が撤回されるという異常な事態になり、28日夜ついに裁量労働制の拡大は今回の法案から削除となった。比較することができないデータを都合よくつまみだし、裁量労働者の方が一般労働者より労働時間が短いとして「世界で一番企業が活動しやすい国に」にむけた裁量労働制拡大が目論まれてきたことが上西充子法政大教授や野党の追及で白日のもとにさらけ出され、2月21日の予算委員会中央公聴会の意見陳述並びに質疑で問題点はより明確になった。

問題は裁量労働制の拡大だけではない。年104日の休日と有休5日と健康診断を行えばあとは1日24時間×261日の連続労働も可能な高度プロフェッショナル制度も撤回し、労働政策審議会に差し戻すべきである。また年間960時間もの時間外・休日労働を容認する36協定の特別条項も認められない。全労協は「1日2時間、月20時間、年150時間」の上限規制を求めている。とりわけ1日の総労働時間の規制は重要だ。それなくして女性たちは「活躍」できないし、男女ともに人らしく生きることも、子どもを育てることも、介護をすることもできない。

国会のやり取りは参議院予算委員会に移ったが、全国過労死を考える家族の会の代表世話人寺西笑子さんの「命より大切な仕事はありません」「会社にとっては1つの駒でも家族にとってはかけがえのない命です」「国民の命を奪う法律を作ることは、家族会は絶対認めません」との発言を政府・与党は真摯に受け止めるべきだ。


労働現場の喫緊のもう一つ課題は、非正規労働者格差是正

この国から非正規労働者という言葉をなくすとぶち上げた「同一労働同一賃金」の実現も怪しい。法案要綱では有期契約労働者を現行のパート法の対象にし、パート法8条・9条の適用で均衡・均等処遇を実現するとしている。非正規で働く人の7割は女性だ。その女性が多く働くパート労働で正規労働者と待遇が同じになった例など聞いたこともない。法案要綱の案のままでは、非正規の賃金格差を「欧米並みの8割に」などの政府のスローガンは実現するはずがない。おまけに職務が同じかどうかの判断基準すら明らかではない。

今労働契約法20条を基に裁判が行われ、一部手当は是正との判決もあるものの、「雇用管理」という身分が違うなら、差別は当然と言わんばかりの判決が出ている。違いがあっても現在の「格差」が合理的なのかが問われるべきだ。こんな状況で労働契約法20条の削除などもっての他であり、労契法に「平等原則」の規定を入れるべきである。

4月の労働契約法18条による有期労働者の無期転換権の発生を前に権利行使をさせないための雇止が増えている。さらに政府は労基法の適用をうけない「雇用されない働き方」を増やそうと検討しているが本末転倒である。

今必要なのは「8時間働けば生活できる賃金」の構築だ。その一歩として、今すぐ最低賃金を全国一律1000円にし、早急に1500円を実現すべだ。

昨年秋に公表されたジェンダーギャップ指数で日本はまた順位を下げ144カ国中114位となった。その原因は経済分野と政治分野における男女格差にある。2007年の指数は、日本は80位、フランスは76位、それが10年後、日本は114位に下がり、フランスは11位と順位を上げている。まさに政治の姿勢の問題だ。人口減少が始まった今、政治が取組むべきは、女も男も仕事、睡眠、自分の時間を持ち家事・育児・介護もできる真の「働き方改革」であり、企業のための「働かせ方改革」にさせてはならない。

以上