安倍政権の改憲策動を許さない / 全労協新聞 2017年12月号

安倍政権の改憲策動を許さない / 全労協新聞 2017年12月号



安倍政権の改憲策動を許さない

憲法の原点に戻ろう!
改憲阻止の大衆運動の中心を
労働組合が担い、共闘を推し進めよう!


高度成長から低成長へ、世界資本主義の構造が変わり、そして日本資本主義の再編成というというこの歴史の転換点に自民党政権は日本をどのように変えようとしているのか。そして、今、戦後日本を規定した日本国憲法の、その枠組みを大きく変えようとしている。

日本国憲法を本当に守ろうとするのであれば、われわれはどのように対処すべきか問われている。

2013年の「特定秘密保護法」反対の闘いから、2015年の安全保障関連法、いわゆる「戦争法」、そして2017年6月の犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」反対の闘いへと、国会周辺では闘われてきた。

われわれの基本的情勢認識は、「戦争法」は政府・資本の側から見てまだまだ到達点ではなく、これらをきっかけにさらに明文改憲まで突き進む一里塚と考えた。そして最後は改憲で、この国をアメリカと共に戦争できる国にする。それへの一里塚と捉えて闘ってきた。

自民党が初めて公約の主要項目として「自衛隊明記」を含む憲法改正4項目について掲げた第48回衆議院選挙は、与党(自民党・公明)が憲法改正発議に必要な定数を確保し、希望の党などを含めると「3分の2」を越える結果となった。

この結果を受け、自民党は年内にも自衛隊の存在明記などをめぐる意見集約を図り、来年の通常国会で発議を目指す方針といわれる。

従って、今後、憲法改正に向けた議論が加速化する。われわれは、あらゆる手段で国会発議をさせないための闘いと、国民投票で否決する運動を強めなければならない。

こうした中で、「立憲主義を取り戻す」ために、より立憲的な憲法を目指し、野党こそが「立憲的改正」の方向性を示すべきだという議論を聞く。つまり「安倍政権は、国民と国家が共有してきた憲法に関する解釈、不文律、慣習を破壊してきた、だからこそ、今、強大化する内閣に歯止めをかけるための憲法改正が必要になっている」と。しかし、これは土俵が違う。働き方改革実現会議」が資本のための「働かせ方改革実現会議」になっているように、間違いなく政権に利用される危険性がある。

立憲主義という国家の基礎が破壊されようとしているこの危機的状況にどう向き合うか。改めて憲法とは一体何なのかということを考えてみる必要がある。

国家権力を抑制し、国民の人権を保障していくというのが憲法の要諦だ。

今年施行された「共謀罪法」が、個人の思想良心の自由やプライバシー、表現の自由、集会の自由といった基本的人権が十分に保障されているか確認しなおす必要がある。

憲法27条は国民の勤労の権利を保障している。国民の勤労の権利というのは、労働者に対して勤労の機会を与える義務、国が働いて生活しろというのであれば、国が就労の場を国民に提供しなければならない。

そして28条で、最低限の労働条件は刑事罰で守らせる。企業あっての労働者、いつ切り捨ててもいい労働者、そして労働者は死ぬまで働かされる。労働者派遣法は国の義務を放棄した。

いま日本の存立危機事態が叫ばれ、集団的自衛権行使が現実のものとなり、そして戦争は最大の公共事業となりつつある。

この様な中で、労働組合がどのような役割を果たさなければならなかったのか、反省をしなければならない。改憲阻止の闘いは、労働者・労働組合の責務である。

憲法の原点に戻ろう。

憲法公布71周年の11月3日、改憲阻止の国会包囲行動が行われた。民進党の混乱・分裂もあったが、これまで積み重ねられてきた共同行動はより強まった。労働組合は、この大衆行動の中心を担い、さらに共闘を推し進めなければならない。「3000万署名」を確実に実現し、そしてこの取り組みを全国各地に広めよう。

金澤 壽 議長