大会宣言(案)
「辺野古に新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺るがない」故翁長沖縄県知事の不屈の決意を受け継ぐ沖縄県知事選挙の投開票日の最中に全労協は節目となる第30回の定期大会を開催した。
西日本豪雨、大阪北部地震、北海道胆振東部地震、さらに相次ぐ大型台風により多くの人々が被災し、困難を強いられている。東日本大地震、福島第一原発事故、熊本地震の復旧も未だ目途がたっていない。「赤坂自民亭」や「復興五輪」と称する2020東京オリンピック・パラリンピックの開催等で被災者を蔑ろにしている現実は、3選を果たした安倍一強政治のおごりそのものである。政権発足から約6年、嘘と欺瞞の安倍政権を打倒することは全労協の最大の任務である。今大会の多くの議論のなかでもそのことは確認された。
安倍政権の最大の狙いは「戦争をする国」をめざして2020年の憲法改悪、9条改憲にある。そのためには秋の臨時国会に自民党改憲案を提出、憲法審議会で審議し、来年の通常国会での発議の強行である。この秋から改憲をめぐる社会的な激突は必至であり、全労協はそのたたかいに全力でとりくんでいく。沖縄のたたかいに呼応する取組み、「安倍9条改憲NO!」の3000万人署名運動、さらに市民連合と立憲野党の共闘による来年春の統一地方選挙、参議院選挙の取組みを通して改憲攻撃とたたかっていく。
長時間労働と過労死を合法化し、8時間労働を基本とした戦後の労働法制を解体させる「働き方改革」関連法案が6月29日、成立した。全労協は雇用共同アクションの一員として厚労省・国会前行動にとりくみ、さらに労働法制改悪阻止全国キャラバンの一翼を担い、全国39都道府県の行動を成功させてきた。法案は阻止できなかったが、全国キャラバンの成果を今後の労働政策審議会でのとりくみや職場における「働き方改革」関連法の実施に対する規制と阻止のとりくみにつなげていこう。
日本の雇用社会は非正規労働者が約4割に達している。改正労働契約法施行から今年で5年。労契法18条の「無期転換ルール」を潜脱する資本の横暴が繰り返された。さらに施行から3年となった改正労働者派遣法による相次ぎ「雇止め」通告。法すら守れない現実を前に、労働組合のたたかいによって労働者の権利と労働条件を勝ちとっていくことが労働運動の、そして「権利はたたかいとるもの」という全労協の原点であることを改めて確認する。
今、安倍政権の下で、働き方改革、LGBT、障がい者雇用、外国人労働者の人権等に象徴される『生産性』をものさしとする社会が広がりつつある。社会的弱者への差別が強まり、ヘイトによる排外主義の浸透は、欧州での移民排除を掲げた極右政党の伸長という世界的な社会状況にもつながる。全労協は一つの価値観・基準をものさしとするような社会に対抗し、多様性が尊重され、何よりも一人ひとりの人権が大切にされる社会の実現に向けて奮闘する。
結成以来の歴史のなかで培ってきた全労協のめざす社会的労働運動が時代を切り開く力であることを確信し、その前進に向けて全力でとりくんでいくことを決意する。
以上、宣言する。
2018年10月1日
第30回定期全国大会