全国一般東京東部労組メトロコマース支部 証人尋問 / 全労協新聞 2016年8月号

全国一般東京東部労組メトロコマース支部 証人尋問 / 全労協新聞 2016年8月号



全労協新聞
より


全国一般東京東部労組メトロコマース支部
労働契約法20条裁判証人尋問
非正規差別をなくせ!
組合員が怒りの証言



 東京メトロ売店非正規労働者らでつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部が正社員との賃金差別をなくすために起こした裁判の証人尋問が六月二十三日、東京地裁であり、同支部組合員の原告四人が非正規差別と生活苦を強いる会社側への怒りをもって、同じ仕事をしているにもかかわらす労働条件に不合理な格差かあることを堂々と証百し、傍聴に駆けつけた多くの支援者の魂を震わせました。

 証人尋問は午前中、会社側証人として向井拓メトロコマース前総務部長への主尋問・反対尋問がありました。組合側弁護団による反対尋問で、なぜ正社員に支給される住宅手当や家族手当が出ないのか、早出・深夜の割増賃金に差がついているのはなぜか、非正規労働者に退職金が出ないのはなぜかなどについて、向井氏は「過去の経緯でそうなっているから」「そういう制度だから」などと答えました。まさに、そのような経緯と制度が非正規労働者への差別だと指摘されているにもかかわらず、まったく合理的な説明かできませんでした。

 裁判後の報告集会には、傍聴席に入れなかった支援者が残って参加してくれました。同支部組合員と弁護団は大きな拍手で迎え入れられました。

 弁護団が証人尋問のポイントと今後の裁判の進行について説明し、同支部組合員からは証人尋問を終えての感想を述べました。同じ労働契約法二十条裁判を闘う郵政ユニオンの仲間から連帯発言を受け、最後に「東京メトロメトロコマースは非正規差別をなくせ!」などのシュプレヒコールを参加者全員であげました。


●後呂良子組合員

評価されない
非正規



 後呂さんは非正規労働者も正社員とまったく同じ売店業務を担っていること、自分たちの創意工夫で売上向上に貢献していること、責任の度合いや配置転換の有無なども同じであること、登用試験の不合理性などを具体的に明らかにしていきました。

 そのうえで、以前の店舗が閉店になる際にお客さんがくれた手紙に、「後呂さんは心のオアシスだ」と書かれていたことを紹介し、さらに「非正規労働者はいくら頑張っても会社に評価されないが、お客さんは見てくれていた。これからも頑張っていこうと思った」と涙ながらに語りました。


●瀬沼京子組合員

傷病になっても
非正規は無給



 過去に骨折で仕事を休んだ際、正社員は私傷病時に休めるのが三年であるにもかかわらす、契約社員Bは四ヵ月であることをあげ、さらには正社員にはほとんど全額賃金が払われるのに契約社員Bは無給で、なおかつボーナスまで減額されたという差別の実態を明らかにしました。母親の介護で働けなくなった時の心境を「収入が断たれ、ショックだった。姉妹の援助があったから何とか生活できた。退職金もなく、賃金も低い契約社員Bの生活を会社は考え直してほしい。格差をつけるのをやめて、売店の屋台骨を支えてきた契約社員Bを救ってほしい」と訴えました。


●加納一美組合員

退職に
ねぎらいなし


 二〇一一年三月十一日の大震災時には電車が動かなかったため家に帰れす、翌朝そのまま一睡もせずに売店勤務についたことなどの事実に基づいて、非正規労働者であっても責任をもって売店業務にあたってきたことを証言しました。会社に定年退職を迫られた際、常連のお客さんからもらったハンカチを「勲章」と話す一方で、会社は退職する正社員には盛大にパーティで祝いながら非正規労働者にはねぎらいの言葉や花一輪すらなかったことに「社員と同じ仕事をしてきたのに、なんでこのような差別されるのか、いまでも納得できない」と怒りを表明しました。


●疋田節子組合員

低賃金に
悔しい思い


 非正規労働者への差別ゆえの低賃金について、けがで仕事を休んだ際に社会保険料の支払いのため、父から社会人になったお祝いにもらったネックレスなどを売却してお金を捻出したときのつらい気持ちを語りました。

 息子との二人暮らしで、冷暖房もほとんど使わず、大根の葉など食材も残さず生活費を切り詰めている状態であるものの、昨年四月の退職時には貯金が八万円しかなかったという。

 さらに、「賃金が上がらないので、会社側に生活を安定させるため、せめて月給にしてほしいと言っても『ダブルワークしろ』としか言われなかった」と侮しい思いを述ベました。