全労協15春闘方針 その2 国際情勢

全労協15春闘方針 その2 国際情勢



2)15春闘を取り巻く情勢 

◎国際情勢

① 11月、アメリカの中間選挙共和党が勝利し、上下両院において多数派となり、オバマ大統領の施策に対する不満が大きくなっていることを見せつけた。

景気回復が堅調であると云われるアメリカでも貧困と格差社会は進み、かつてオバマ大統領を誕生させた貧しい人々がオバマ大統領への失望を示したと云われている。アメリカ経済は雇用なき経済回復と云われ、再び一部富裕層、巨大金融機関・大企業への富の偏在とウォール街占拠を行った99%運動に象徴される貧困の現実のなかで、政治的な不安定さを増している。

② また、核兵器廃絶を訴えてノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は再びイラクシリアへ空爆をはじめている。イラク戦争の落とし子とも云われるように、イラクの侵攻とイスラム圏への軍事介入から被害を受けた人々と言われる「イスラム国」との抜き差しならない泥沼戦争に直面している。一方、ウクライナ問題は内戦状況を呈し、ロシアと欧米の間で対立と緊張が強まっている。

③ 一人勝ちといわれてきたドイツ経済も停滞が指摘され、ギリシャ、スペイン、イタリアなどでは経済回復は思うに任せず、ヨーロッパ経済は依然として厳しい状況が続いている。中国経済は成長率の低下が顕著となり、ブラジルやインドなど新興国経済も停滞を余儀なくされ、11月に連続して開催されたAPEC(中国)、G20(オーストラリア)においても世界経済回復に向けた共同歩調を明らかにできないばかりか、米・EUとロシアの対立、米-中間の太平洋湾岸を巡る覇権争いばかりが表面化するものとなった。新自由主義による世界経済の再建の目途はますます判然としないものとなり、資本主義体制の矛盾は克服する術もないことがますます明らかとなっている。世界で広がる貧困と格差社会の蔓延は何時その矛盾を爆発させても不思議ではなくなっている。

④ こうした状況の中で、スコットランドではイギリスからの独立を求める住民投票実施され、世界中から注目された。香港では行政長官を決める選挙に対し立候補の自由を求める学生市民の香港中心地の占拠闘争は2ヶ月に亘って行われている。アメリカでは各地で最低賃金の引き上げを求めるマクドナルドなどの外食産業で働く労働者ストライキが闘われている。