安倍政権の雇用労働戦略の狙いを語る風間直樹氏(12月14日)
●14けんり春闘全国実行委員会発足集会
十二月十四日、在日本韓国YMCA国際ホールにおいて「14けんり春闘発足集会」が行われた。約九十人の参加で、アベノミクス第三の矢である成長戦略と称し、労働者をはじめ東北の被災者、農民、漁民など国民多数に犠牲を強いる安倍政権への怒りと危機感に満ちた集会となった。
共同代表の伊藤全港湾委員長の代表挨拶は、「安倍政権が臨時国会で成立させた国家安全保障会議と特定秘密保護法により平成の治安維持法と大本営を手に入れ憲法九条改正の総仕上げを整えた、安倍政権と正面から闘う陣形をどう労働運動から作っていくのか」と指摘し、「大企業だけベア一%以上の要求では定昇もない中小は闘う以外にない、賃上げと共に最賃・公契約条例を闘い取るため、公務、民間中小、非正規が一体となって闘う14春闘としよう」と呼びかけた。
議案提起は、中岡全労協事務局長の「14春闘を新自由主義再復権のなか非正規労働者との連帯を求めた官民共闘を主軸として闘い、全ての労働者に一七、〇〇〇円の賃上げを要求する。」「日米軍事一体化で憲法九条改悪を狙う安倍政権と闘う14春闘は、労働法制全面改悪と消費税増税に反対し、公務員労働者攻撃、公共サービス低下との闘いや、沖縄の辺野古新基地建設反対など全ての領域で安倍政権と闘う春闘を作りだそう」と提起し、14けんり春闘全国実行委員会が発足した。
二部では、『週刊東洋経済』記者の風間直樹氏から「労働法制論議の裏に潜むもの、労働現場の実態から」と題した講演が行われた。世界で急成長を続けるユニクロの柳井社長は「社員はいらない同志を求める」と労働者の権利を主張する者はいらないと公言し、膨大な作業に追われる名ばかり管理職など、社員の三年以内離職率は五割を超え、うつ病罹患も深刻なユニクロの実態を暴露した。また、安倍政権の雇用労働戦略の狙いは労働法番外地、その本丸はホワイトカラーエグゼブションと指摘し、トヨタなど内向きで労使協調と生産性向上を叩き込まれた労働運動では安倍政権と財界の攻撃には闘えない、労働運動は社会の不条理に立ち向かうとした二〇〇三年連合評価委員会最終報告を例に、労働組合の社会的役割を強く訴えた。
第三部として、労働法制改悪を闘う雇用共同アクションから中小労組ネット・平賀事務局長、被曝労働の現場で除染労働者と共に闘う全国一般全国協ふくしま連帯労組・佐藤書記長から特別報告を受けた。参加労組の決意表明は、生活と権利のための外国人労働者総行動実行委員会・鳥井事務局長、国労本部・鈴木執行委員、全港湾・松本書記長、全造船関東地協・早川事務局長、公務員労組を代表して全水道東水労・上村委員長、全国一般全国協・渡辺書記長、全統一井上眼科病院・福井分会長、郵政産業ユニオン非正規社員定年無効裁判原告・丹羽さん、石油連絡会と女性労働から全石油昭和シェル労組・柚木副委員長、大阪ユニオンネットワーク共同代表・垣沼代表の十人から職場の闘いの報告と14春闘をストライキで闘う決意が述べられた。
最後に田宮けんり春闘共同代表から労組を舐めるなと力強いまとめと、金澤全労協議長・共同代表から14春闘を労働組合の団結と連帯を結集して闘う決意の閉会挨拶と団結ガンバローで集会を締め、14けんり春闘がスタートした。
全労協新聞 2013年12月号 2面から
●14けんり春闘発足へ
政府財界の労働法改悪反対
労働者の闘いで賃上げを
安倍政権の暴走が止まらない。夏の参議院選挙は十二年末総選挙に続き自民党が勝利し安倍第二次内閣を自民公明連立政権として発足させた。国会は衆参ねじれ状態を解消し、維新、みんなの党を加えて改憲勢力は憲法改悪が可能な議席数を優に超える状況となった。安倍首相は公然と九六条改憲から着手すると宣言すると共に、対中、対韓政策に強硬姿勢を取ると共に、自ら「右翼軍国主義者と呼ばれてもかまわない」(二〇一三年十月、訪米中の講演で)と豪語するまでに増長している。経済政策ではアベノミクスによる円安株高を経済が回復していると国民を欺瞞しながら、「世界で一番企業が活動しやすい国」にするという。また、東日本大震災から復興を願い必死で働く東北地方の人々や原発事故による被害者は再び切り捨てられようとしているのである。
急ピッチで日本を戦争のできる国へ導く一方、大企業を優遇し労働者国民の基本的権利は簒奪され、既存の社会保障・福祉政策は切り刻まれて貧困化が進んでいる。かつての軍国主義日本の反省の上に立ち、戦後日本国民が築いてきた平和と民主主義擁護、労働者国民の生活向上をめざしてきた努力が根底的に覆されようとしている。安倍自公政権は権力を集中させ、官邸に「お友達と取り巻き」を集め、諮問会議を乱立させてその恣意的な結論を政策とする手法さえ強めている。安倍政権は戦後最悪の危険な政権と言っても過言とは云えない。
このような厳しい状況下で迎える14春闘は政治経済あらゆる面において一時たりとも闘いの手を緩めることの出来ない緊張下で闘われることなる。政府はデフレ克服として二%のインフレ目標を設定し、円安と共に生活必需品の高騰をもたらしてきた。加えて来年四月には消費税を八%に引き上げを決定している。そして社会保障は医療・介護保険を改悪して自己負担増や保険料率の引き上げ、年金や生活保護給付金の改悪など枚挙にいとまがない攻撃を続けている。
そして「失業なき労働移動」と称して、雇用維持政策を投げ捨て、低賃金で解雇の容易な労働者=非正規労働者を中心に置いた労働法制の全面転換を図ろうというのである。非正規労働者は年々増え続け、三六%を超えるまでに拡大した。労働者の生活は疲弊し、円安効果による史上最高益を謳歌する多国籍大企業の一部正社員労働者が潤う他は、下請け企業・中小零細企業とそこで働く労働者、非正規労働者にそのツケを回そうというのである。
14春闘を前に、安倍首相は公務員賃金の引き下げを強行して公務員と民間労働者の分断攻撃を続ける一方、財界には賃上げを要請し、一部大企業が賃上げに応じるかのようなパフォーマンスを演じている。あたかも安倍首相のお慈悲によって労働者の賃金引き上げが行われるのではないかという幻想が振りまかれている。賃金引き上げは労働者の闘いによって勝ち取るものであり、況んや、政府財界が主導する賃上げと労働法改悪を差し出すことを許してはならない。
14春闘は生活防衛のための大幅賃上げの闘いと、派遣法や労働時間制改悪阻止、脱原発社会実現に向けた闘いや戦争国家への道である特定秘密保護法成立阻止、TPP反対など生活防衛、平和と民主主義の防衛という全面的な分野で息つく暇無く闘いが続くことになる。14けんり全国実行委員会は例年より大きく前倒しして十二月には出発させることとなった。発足集会を成功させ、闘いの勝利に向け、堅い意思統一を実現させよう。
行動予定
12月13日
朝から 東京総行動
19時50分 労働法制改悪反対銀座デモ
12月14日
14けんり春闘発足集会
(F)