最低賃金13-63 神戸市、非正規職員賃上げへ 民間への波及狙う

最低賃金13-63 神戸市、非正規職員賃上げへ 民間への波及狙う

ア)記事

神戸市、非正規職員賃上げへ 民間への波及狙う
2013年12月25日11時01分

非正規職員の賃金値上げへ 「職務内容精査しつつ若年層中心に」神戸市長が発表
2013.12.25 13:49


イ)神戸市記者会見



記者:
 非正規職員の方の給与の引き上げの件なんですけども、神戸市は財政再建とかでいろいろと、特に特別職の方の給与カットとかもありますけど、その辺は特にカットは直さないんですか。


久元市長:
 かつて、これは矢田市長が就任されたころだったと思いますが、3カ年の賃金カットを行いました。その後はそういう措置は回復していましたけれども、国家公務員の給与カットに準じて、地方公務員についても給与の引き下げを行うようにという要請があり、そのような措置が今現にとられているわけです。これが来年の3月までの今年度いっぱい、これが続くことになります。

 これにつきましては、矢田前市長は、大変理屈に合わない話だということをおっしゃっていましたが、実際に地方交付税も削減される中で、市民生活に影響を及ぼさないという観点から、神戸市の判断として、現在、給与カットが行われています。これが回復されることになります。現在はそういう状況です。

 そこでご質問は、そういう神戸市が非常に厳しい財政再建をやってきている中で、非正規職員の給与の引き上げをやることがいかがなものかと、こういうご質問、そういうことでもないんですか。


記者:
 まあ、そういう、ボーナスが、平成何年でしたかね。


久元市長:
 かつてそういうことをやりましたね。しかし、本来は、人件費に手をつけるというのは、全国の自治体から見ても、かなりぎりぎりのことなんですね、よほどのことなんですね。しかし、よほどのことを、神戸市の危機的な財政状況を考えれば、財政再建団体への転落を回避するという意味でも踏み切らざるを得なかったということです。しかし、長期間やるのではなくて、3カ年で終了させて、そしてその後、また改めて別の観点から国の要請ということで現在行われていると。

 幸い、国家公務員、地方公務員も含めまして、この現在行われている給与カット措置は、今年度で終了させる方針だと聞いていますので、方針が確定すれば、国家公務員、地方公務員、神戸市の職員も、本来の給与水準に戻るということになります。来年の4月からです。


記者:
 賃金の引き上げの件なんですけれども、先ほどその額についてはこれから決めるということをおっしゃっていましたけれども、幅として何パーセントから何パーセントぐらいまでということを想定していらっしゃるのか。あと、額としても全体上限として大体何億円とか、そういうところを今、見えている範囲で教えてください。


久元市長:
 いえ、これはまだ予算編成の中で考えていきますから、まだ何パーセントということは言えません。

 しかし、1つは、非正規職員の待遇はいろんな経緯があって今の段階に来ていると思いますが、考え方としては、正規職員と同じような仕事をして同じような責任が問われるという、責任の度合いが似ているものは余り乖離があってはいけないと私は思います。そういう意味から、大きな官民を通じた賃金水準の引き上げという文脈とともに、この非正規職員の待遇ということについて、もう一度精査をした上で適正な賃金水準に引き上げていくということを考えていきたいと思います。


記者:
 今、神戸市は非正規の職員の方は何人ぐらいいらっしゃるんですか。


久元市長:
 これは幾つかのタイプがありまして、臨時的任用と呼ばれている、これが約800人です。それから、臨時的任用職員は基本的には正規職員と同じ勤務時間が適用になるのですが、それよりも短い勤務時間が適用されて、しかも任期がついている、-任期付短時間勤務職員といいますが-これが約100人います。以上のこの2つのタイプのものは、地方公務員法が適用になり、基本的には同じような服務規律が適用になるのですが、特別職の非常勤嘱託という人たちがいまして、この方たちが大変多くて約1,600人います。今後の方針としては、非常勤嘱託を順次、任期付の職員に切りかえていきたいと思っていますが、それは今後の話で、今は大体2,500人ぐらいいます。

 特にこの中でも、若年層の非正規職員を中心に処遇の改善を行っていきたいと思っています。


記者:
 あと、すいません、今おっしゃった最後の特別職の非常勤の方を任期付に切りかえていきたいというのは、どういう意図があってということになるんでしょうか。


久元市長:
 これは、採用の根拠が特別職ということですので、これは地方公務員法の適用がないわけです。やはり、地方公務員法をしっかりと適用して、それから、勤務時間についても正規と同じような勤務時間の人もいれば、また、もっと短い勤務時間で働けるような、雇用形態を多様化していくということが求められているのではないかという発想です。


記者:
 賃金の引き上げなんですけれども、職務に応じて引き上げるとおっしゃっていたのですが、職務の内容によって賃金の引き上げに幅があるということでしょうか。


久元市長:
 いや、それは精査してからですけれども、基本的な考え方としては、正規職員と同じような仕事をやっていて、また、責任の度合いもそんなに変わらない、事実上同じような責任の度合いがあるというようなものについては、あまり正規職員との差があるべきではないと私は思っています。これについては、あまり細かく差をつけることは現実的にはなかなか難しいと思いますけれども、実際に非正規職員が従事している仕事の内容をもう1回精査してみて、今の水準でいいのかどうかということについて考えたいということです。


記者:
 賃金引き上げで、市長として、神戸の経済界に、給料アップ、賃上げの要請を行うようなつもりがおありなんでしょうか。


久元市長:
 改めて要請をするということについては今の段階では考えていません。ただ、このことにつきましては、相当、安倍内閣は経済界に対して強く要請をしていることは広く報道されているところですから、経済界の方も、そこは先刻よくご存じだと思います。

 そういう流れがあり、一方で、中小企業の中にはなかなかそこまでは踏み切れないという方がいらっしゃると思います。また、批判を先取りするようで恐縮ですけれども、「神戸市はそういうことができる余裕があっていいな、うちの会社はなかなかそんなことをやりたくてもできない」というような批判があるかもしれません。そのことは覚悟しなければいけませんが、何とかそこを乗り越えて、民間も、公務職場も、マスコミの皆さんにも期待したいと思いますけれども、景気の回復が幅広い業種・職場で賃金の上昇につながっていくことをぜひ期待をしたいと、そういう思いからです。


記者:
 非正規職員の方の賃金引き上げの件で、最後におっしゃった任期付短時間職員のほうに特別職の非常勤嘱託を切りかえていくとお話しされてたんですけども、それを変えることで雇用形態が柔軟になるという、そこをもうちょっと詳しく説明していただきたいと。


久元市長:
 賃金の引き上げの要請という話と、それから非常勤嘱託を任期付短時間職員なりに切りかえていくというのは、別の話だとまず考えていただきたいと思います。それは、今後そういうふうにしていくという検討をしていくということで、とりあえず4月からは、今の任用形態を変えるか変えないかにかかわらず、とにかく全体的に、この3種類ある非正規職員の中で若年層を中心に賃金を引き上げたいというふうに考えているということです。



(神戸)