雇用破壊攻撃を跳ね返す闘いを  全労協新聞 2013年11月号 1面から



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雇用共同アクション結成集会で金澤議長が発言(1023日)


雇用破壊攻撃を跳ね返す闘いを
憲法・労働法を無視する国家戦略特区構想
全労協・連合・全労連など広がる反対の声

七月二十六日に、日経新聞一面トップに「雇用規制、特区で緩和解雇・残業柔軟に」と報じられた。成長戦略の要として、国家戦略特区を設定、とりわけ規制が「強い」労働法制に穴を開け、一気に企業が世界で一番活動しやすい国づくりを進めようという安倍政権の狙いを先取りした報道でた。そは、「金を含む解雇規制の緩和」「有期雇用契約の設定を柔軟に」「ホワイトカラーエグゼンプションの導入」の三課題が具体的に提起されていた。

この報道に対し、多くの労働組合活動家が、「そんな、憲法、労働法の全面否定はできっこない。日経新聞の誘導報だ」とた。しかし、それから三ヶ月、多くの報道が雇用特区の動きを追跡し、「解雇特区」「ブラック企業特区」と命名、その無法ぶりを批判的に報道した。

経済財政諮問会議、日本経済再生本部を軸に、産業競争議、規じ、とりわけ、国家戦略特区ワーキンググループ(座長八田達夫大阪大学招聘教授)がなんとしても三課題を実現しようと躍起になった。しかし、法の下の平等、労働基準を国が定めるなどの憲法を無視しようとする特区構想そのものに無理があり、日弁連始めとする法曹界全労協連合、全労連などすべての労働組合の反対の声が広がり、厚生労働省の抵抗も強く、内閣法制局からも疑問が出されるなどし、「雇用特区」の中身は最終的に大きく後退させられた。

十月十八日、国家戦略特区ワーキンググループ「国家戦略特区において検討すべき規制改革事項等」では、労働時間は外され、解雇ルールについては、「雇用労働相談センターを設置」にとどまり、有期雇用の特例についても、全国規模での規制改革として労働政策審議会で平成二六年国会に提出できるよう早急に結論を出すこととなった。

解雇特区の攻撃は、様々な抵抗にあって、大きく後退させられた。しかし、これに安心するわけにはいかない。本来、成長戦略の中では限定性社員制度の普及・拡大、ホワイトカラーエグゼンプションを狙いとする労働時間の規制緩和、労働者派遣の完全自由化を狙う派遣法改悪、雇用維持型から労働移動型への助成金制度の転換などは、すでに急ピッチで進められているからだ。

「特区アドバルーン」に振り回されているうちに本丸の雇用破壊が急速に進められている。「闘いと、派遣法改悪をはじめとする「雇用破壊攻撃」を跳ね返す闘いを今秋、同時に推し進めなければならない。



(F)