全労協/ 普通の生活ができる当たり前の社会を / 全労協新聞 2014年9月号

全労協普通の生活ができる当たり前の社会を / 全労協新聞 2014年9月号



コラム
疾風


普通の生活ができる
当たり前の社会を


全労協常任幹事
遠藤一郎


「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書が七月三十日に出された。「いわゆる正社員」と「非正規雇用労働者」の行き過ぎた働き方の二極化を緩和するとし、職務、勤務地、労働時間を限定した「多様な正社員」を普及・拡大しようというものだ。

行き過ぎた雇用の二極化は何で進行してきたのか。一九九五年、新時代の日本的経営戦略が発表され、終身雇用を軸とする日本的雇用慣行の転換が提唱され、以降、一気に非正規雇用労働者が増えてきた。九〇年の二十%八八二万人から一三年には三六・七%一九〇六万人と急増した。企業が安価な労働力、景気の動向で調整できる労働力として活用してきたからだ。

この二極化の矛盾を克服するには、有期契約労働は真に臨時的・一時的業務に限るという有期労働規制を確立することだ。なぜそれが「多様な正社員」「正社員改革」として提起されるのか。政府・財界は、四割に達そうとする非正規雇用労働者の「雇用不安」「劣悪な処遇」など歯牙にもかけていない。正社員そのものを、限定正社員と無限定正社員に二極分解させ、前者には低処遇と解雇要件の緩和を準備し、後者には、より一層の猛烈社員=二四時間働けますか=を強要しようとしている。それも、相変わらずのレトリック「労働者一人一人のワークライフバランス」と「企業による優秀な人材の確保や定着実現のため」と称して。

労働者は、腹の底から怒ろう!八時間労働制=八時間働いたら普通の生活ができる=が当たり前の社会を取り戻すために。