最低賃金13-36 兵庫最低賃金意見書 2

最低賃金13-36 兵庫最低賃金意見書 2


2.兵庫労働局における最低賃金問題の後退に対して、最低賃金審議会からの積極的な働きかけを

① 行政運営方針における後退 最重点課題から抜ける

 「平成24年度 兵庫労働局行政運営方針」では、最低賃金問題について「平成24年度兵庫労働行政の最重要目標とその取組」の項の「労働者が安心して働くことのできる労働環境の実現をめざす」の中で「最低賃金の履行確保」の項が設けられていました(4頁~5頁)。【資料1】
 ところが、「平成25年度 兵庫労働局行政運営方針」の同じ項に当たる「平成25年度兵庫労働行政運営の最重点課題」では、最低賃金問題に触れられていません。

 毎年ある「最低賃金制度の適切な運営」の項は、2012年度(平成24年度)は、3項目挙げられていましたが、2013年度(平成25年度)は2項目になっています。削除されたのは「イ 最低賃金違反のおそれがある地域、業種等における遵守の徹底」。この項が「ア 最低賃金額の周知徹底等」に集約されたのかも知れませんが。
 また「最低賃金の引上げに向けた中小企業への支援策」の項では、「相談センター」1箇所が残り、「相談コーナー」2箇所が無くなりました。(かつて全国167箇所、現在全国47箇所。兵庫県下は昨年の案内では計3箇所が今年は1箇所に。)
 いずれにせよ、この項の記述は、2012年度(平成24年度)は15行だったのが、2013年度(平成25年度)は11行に減っています。「賃金の低廉な労働者」にとって最低賃金問題が重要な位置を占めている状況は変わっておらず、行数の減少が、取り組みの弱化になっては困ります。【資料2】


【資料1】

平成24年度兵庫労働局行政運営方針
第2 平成24年度兵庫労働行政の最重点目標とその取組
2 労働者が安心して働くことのできる職場環境の実現をめざす
(1) 一般労働条件の確保・改善と労働関係法令の履行確保
最低賃金の履行確保 
最低賃金制度については、セーフティネットとして一層適切に機能することが求め
られている。毎年改定される最低賃金額について局署一体となり広く県民等にその周
知徹底を図るとともに、その履行を確保する。また、最低賃金の引上げに向けた中小
企業への支援事業を実施する。 

【資料2】

平成24年度 兵庫労働局行政運営方針
第3 平成24年度兵庫労働行政の重点施策
2 労働基準行政の重点施策
(2) 最低賃金制度の適切な運営

最低賃金額の周知徹底等 
兵庫県最低賃金及び特定最低賃金については、兵庫地方最低賃金審議会を円滑に運
営し、改定する。 
また、最低賃金額が改定されたときは、改定額を県下の使用者団体、労働団体、兵
庫県及び県下各市町の自治体等を通じ、広く県民に周知し、遵守の徹底を図る。 

最低賃金違反のおそれがある地域、業種等における遵守の徹底 
平成23年度の最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導の結果、約 8%の事業場
最低賃金にかかる違反が認められたことから、引き続き、賃金水準の低い地域、業
種等を重点とした監督指導等を集中的に行う。
 
最低賃金の引上げに向けた中小企業への支援策 
賃金の引上げのためには、経営面での工夫や就業規則の改定など賃金制度の見直し 
が必要となることから、経営面と労働面の相談をワンストップで提供する相談センタ
ーを神戸市に、相談コーナーを姫路市及び豊岡市に設置し、中小企業に対する相談支
援事業を実施する。 


平成25年度 兵庫労働局行政運営方針
第3 平成25年度兵庫労働行政の重点施策
2 労働基準行政の重点施策
(3)最低賃金制度の適切な運営

最低賃金額の周知徹底等
兵庫地方最低賃金審議会の円滑な運営を図る。
また、最低賃金額が改定されたときは、改定額を県下の使用者団体、労働団体地方公共団体等を通じ、使用者及び労働者に周知し、遵守の徹底を図るとともに、履行確保上問題があると考えられる地域、業種等を重点とした監督指導等を行う。

最低賃金の引上げに向けた中小企業への支援策
賃金引上げに取り組む中小企業の経営面と労働面の相談をワンストップで提供する相談センターを神戸市に設置し、相談に対応する。




② 最低賃金未満の求人・雇用に対する取り組みの強化を

 先に述べたように、行政方針から「最低賃金…(中略)…遵守の徹底」の項が削除されましたが、今年は例年以上に強化する必要があります。
 現在、750円の求人が多くあります。今年、最低賃金改定が行われて、751円以上に引き上げられたとしても、周知徹底・監督指導を徹底しない限り、750円の店頭求人、インターネット求人が多く行われると思います(求人会社を通さない求人)。

 昨年、自立労働組合連合では、最低賃金未満の求人に対する抗議の取り組みを行ってきました。コンビニエンス最大手2社(どちらも1万店舗を展開)が自社の求人サイトで、兵庫県下をはじめ全国で膨大な最低賃金未満の求人を(2社合わせると数千件、あまりに多すぎて数え切れていません)行っていました。その他の業種の全国チェーンの企業でも最低賃金未満の求人を行っていました。そこで、まず自立労働組合連合の事務所のある京都の最低賃金未満の求人に対する抗議の申し入れを取り組みました。
 そして、兵庫県下の最低賃金未満の求人に対する抗議を準備している段階で、兵庫県警の組合弾圧のため、こうした取り組みは中断せざるをえませんでした。その結果、今日の時点でも大手コンビニエンスの1社は、件数が減ったとはいえ、最低賃金未満の求人を自社ホームページで堂々と行っています。

 いずれにせよ、最大手のコンビニで堂々と最低賃金未満の求人が何年にもわたって行われてきた(そして今なお1社は続けている)ことに示されていることは、厚生労働省・各労働局の企業への周知徹底・監督指導の取り組みの弱さと、またコンビニ等で最低賃金レベルで働いている人に、最低賃金が周知できていないことの結果に他なりません。最低賃金未満の求人・雇用に対する取り組みの強化が必要です。


【参考】

最低賃金31 コンビニ最低賃金割れ ローソンからの回答書 相変わらず最低賃金未満の求人を続けながら 

最低賃金30 コンビニ最低賃金割れ問題 セブンイレブンから回答書。一方、ローソンは 


最低賃金28 続コンビニ大手に 最低賃金を下回る求人に抗議 

最低賃金27 コンビニ大手に 最低賃金を下回る求人に抗議 



(神戸)