65歳まで雇用義務

65歳まで雇用義務
 
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改正高齢者雇用法成立:「65歳まで雇用」義務化
 
毎日新聞 2012年08月29日 20時57分(最終更新 08月29日 22時13分)

 希望者全員を65歳まで再雇用するよう企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が29日の参院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。来年4月、男性の厚生年金の受給開始年齢が61歳に引き上げられるのに伴い、賃金も年金もない「空白」期間を回避する狙いがある。企業側が事実上、再雇用する対象者を選別できる今の仕組みを廃止することが柱だが、厚生労働省は今後、勤務態度や健康状態が著しく悪い人を対象外にできる指針を作る方針で、新たな「抜け穴」となる可能性もある。【鈴木直】
 
 男性の厚生年金受給開始年齢(60歳、報酬比例部分)は来年4月から3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、25年4月以降65歳(女性は5年遅れ)となる。今の60歳定年のままでは年金をもらえる年齢まで無収入となる人が出るため、政府は06年の法改正で65歳までの継続雇用制度を導入した。
 
 ただ、その際は企業の要望を受け、労使の合意で再雇用の対象者を限定できる仕組みを入れた。厚労省の調査(11年6月)では、定年者約43万人中、約7600人は再雇用の希望がかなわなかった。中には「働く意欲」といったあいまいな基準で不採用となる例も少なくない。
 
 そこで今回はこの「選別規定」を廃止し、希望者全員が定年後も働き続けられるようにした。年金の支給開始に合わせて来年4月には61歳まで働けるようにし、3年ごとに1歳ずつ引き上げることで25年4月以降、65歳までの雇用を義務付ける。再雇用を守らず、厚労相の勧告に従わない企業名は公表する。
 
 しかし、希望者全員の再雇用については企業側に「負担が重すぎる」(大手電機)といった不満が強く、経団連の昨年の調査では、4割以上の企業が現役社員の処遇を引き下げると答えている。こうした声に配慮し、法案は衆院段階で例外規定を作ることができるように修正された。具体的な指針は厚労相の諮問機関、労働政策審議会で検討するが、解雇理由に相当する「勤務態度が著しく悪い人」などは再雇用の対象外とする意向で、「希望者全員」とはならない可能性がある。
 
 このほか、改正法は企業の反発を抑えるため、再雇用先を子会社やグループ企業にも広げた。


 
(F)