最低賃金12 京都 最低賃金 審議大詰め (朝日新聞)

最低賃金審議会で、ユニオンネットワーク・京都が意見陳述したことについても触れています。
 


最低賃金 審議大詰め

2012年08月11日
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最低賃金を1千円に――。京都労働局へ向けてデモ行進する労組員ら=7月27日、中京区
 
 
                病気にもなれない/文化的な生活も不可能
                労働者側 時給1千円実現 訴え
 
 時給751円の最低賃金の見直しをめぐり、京都での審議が大詰めを迎えている。国の審議会は8円引き上げの目安を示したが、労働者側は「これではとても暮らせない」と主張。時給1千円を早期に実現するよう求めている。
 京都市の女性(57)は、パートの時給が最低賃金を上回る843円。それでも、月の手取りは9万円前後にとどまる。毎日の食材は3割引きのものを買い、肉は100グラム100円以下と決めている。専門学校を出て求職中の長男(21)の奨学金返済を肩代わりしなければならない。高校生の次男(18)は家計の厳しさを察してか、靴が破れたことを黙っている。
 病気にもなれない。洗濯機や風呂が故障したらどうしよう……。シングルマザーの女性は、そんな不安にさいなまれる。職場の同僚もここ数年で20~30代の若者の姿が急に増え、心配になる。「彼らは自立して結婚できるのだろうか」

 
 今月1日、京都労働局長の諮問機関である審議会が開かれた。京都総評や非正規労働者らでつくる「ユニオンネットワーク・京都」(宇治市)の代表が意見陳述に立ち、「751円ではいかなる文化的な生活も不可能」と1千円への引き上げを訴えた。
 厚生労働省の審議会は先月、京都府内の引き上げ目安額を8円とした。京都の審議会はこれを踏まえ、さらに今月14日と下旬の協議を経て答申を出し、京都労働局長が9月に新たな最低賃金を決める。ただ、目安額いっぱいに引き上げても759円にとどまる。
 労組側が強い姿勢に出るのは「約束」の履行を求めるからでもある。民主党政権交代を果たした2009年の衆院選を前に、「最低賃金の全国平均1千円を目指す」と政権公約に掲げた。その後、政府主導の雇用戦略対話で労使が合意してもいる。
 一方、使用者側は「最低賃金で働く人は家計補助的な存在」などと引き上げに消極的だ。これに対し、やはり京都の審議会で意見陳述した「京都生協パート職員労働組合」(南区)は、最低賃金レベルで働く人の多くが収入を家計の柱にしていると厚労省の調査を示して反論している。
 労働問題に詳しい古川拓弁護士(京都弁護士会)は「ぎりぎりの生活では、病気やささいなトラブルが破産や生活保護に直結する。転落リスクを抱えた人が先を見通せる社会像をどう描くのかが問われている」と話す。
 


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