2012年1月24日 京都労働局交渉 ユニオンネットワーク京都

2012年1月24日 京都労働局交渉 ユニオンネットワーク京都
 
以下、申し入れ書。

2011年1月24日
京都労働局長
小池 國光様
ユニオンネットワーク・京都
田中 啓司
0774・43・8721
 
 
 
 
 労働者の権利と労働条件の改善にむけ労基法順守の立場から奮闘されていることに、感謝いたします。ユニオンネットワーク・京都として以下の内容で申し入れをおこないますので、検討のうえ御回答をお願いします。
 
(1派遣法の改正について
 
 民主党自民党公明党三党による労働者派遣法改正への修正合意がなされ、政府提出の改正案が大幅に修正されようとしています。本修正案は、衆院厚生労働委員会で可決された後、臨時国会での成立が見送られ、継続審議となっています。私たちはこれに反対します。
 今回の修正案では、政府提出の改正案にあった、製造業派遣や登録型派遣を「原則禁止規定」する条項が削除されています。そして、偽装請負など、違法派遣があった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し込んだとみなす「みなし雇用制度」の導入を3年後に延期する。短期間の派遣の禁止では、期間を2か月以内から1カ月以内に緩和する内容となっています。
従来の政府提出の改正案は、リーマンショック後に発生した大量の「派遣切り」による、労働者の不安定な雇用を改善する目的で法案の提出がなされてきた経過があります。しかし、今回の修正案は、この根本的な部分が骨抜きにされており、「派遣切り」にまったく対応できません。労働者保護の観点から、大きな後退といえます。
 政府提出の改正案の内容に立ち戻り、労働者派遣法の速やかな抜本改正を行われるよう強く要請します。
 
)厚労省労働政策審議会の「有期労働契約のあり方についての建議」(12/26)を巡って
 
① 有期労働契約は、業種・内容にかかわらず、客観的に見てその仕事内容が一時的かつ短期的であり、有期労働契約とすることがやむを得ない場合を除き、禁止すべきです。
 正社員など期間の定めのない雇用契約の労働者と同じ業務内容、あるいは長期継続が見込まれる仕事について、有期契約での雇用で対処することは禁止すべきです。

② 有期労働契約の契約期間は最長1年または更新回数3回を限度とし、これに違反した場合は常用雇用とみなすべきです。
 派遣労働契約から直接雇用の有期契約に変更された労働者の場合には、派遣契約時からの契約期間、更新回数を合計し判断すべきです。
 有期雇用労働者にたいし、「偽装請負」や労働契約内容に反する行為が行われた場合には、派遣先や請負先に対し、期間の定めのない雇用契約への変更を義務づける法制化をおこなうべきです。

③ 現在の有期雇用契約労働者は可能な限り常用雇用への転換を図るように使用者に義務づけること。また常用雇用の募集にはその職場の有期雇用労働者を優先的に採用すること。

④ 有期労働契約の労働者であっても、当人がその契約継続を希望する場合にこれを雇い止め、あるいは解雇する場合には、確立された解雇権乱用法理【整理解雇の四条件】などを適用してその合理性・合法性を判断すべきです。

⑤ 有期労働契約で働く労働者を、その従事する業務が継続して存在するにもかかわらず雇用期間終了を理由として雇い止めし、別の新たな労働者との間に有期労働契約を締結したり、一定期間をおいて再度、別の有期労働契約の労働者を雇用することは、禁止すべきです。
 これに違反した場合は、雇止めされた労働者は当該使用者に、雇用の継続と無期労働契約を求めることができるという法的措置をとるべきです。

⑥ フランスなどの実例を鑑み、有期労働契約の労働者は正社員よりも雇用が不安定である点を考慮し、有期労働契約の労働者には、仕事内容が比較可能な正社員よりも高い水準の賃金・労働条件を保証すべきです。
   
⑥ 労働契約を締結する際に、企業側から「雇用期間は
○○年間に限る」「更新は企業側の都合を除き行わない」などの文言がある場合にも、その仕事の継続状態などを基に、上記②、及び、④の内容に沿って、その合理性を判断すべきです。

(3)労働基準監督署の対応について
 
① 労働組合への対応について
 労働組合が使用者との団体交渉と並行し、労働基準法違反の申告をする場合の対応について、「団体交渉による解決か監督署の是正指導か」と二者択一を迫るのはどういう法的根拠にもとづくものですか。
 
② 申告者への説明について
 残業賃金の未払いなどで労働者が申告した場合、申告者に未払い額を先に連絡せず、会社に先に未払い額を説明するのはいかなる根拠によるものですか。また申告者が未払い額も合わせて申告し、労基署の計算額と大きく異なるにもかかわらず、申告者になぜ異なるのかの説明もせずに、会社に説明するのはいかなる理由によるものですか。
 
③ ハローワークの求人票を「チラシ程度のもの」とする対応について
 中小企業では労働契約を書面で交わさない職場が少なくありません。
労働者にとって、ハローワークの求人票は自分の労働条件の重要な手掛かりになっています。求人票の内容を信用して就職するので、少なくとも「期待権」は発生していると考えます。
 また求人票と実態が違うというケースも少なくありません。求人票は公的機関に会社が提出しているものですから、「チラシ程度のもの」と監督官が言うのは、ハローワークの業務を貶めるものでしかないと考えます。むしろ、虚偽の記載や意図的に誤解を生じるような記載がある場合は、厳しく指導すべきであると考えます。求人票の内容を守るように会社を指導する義務があるのではないですか。
 
)最低賃金について
 
① 現行の地方別の最低賃金制度を廃止し、全国一律最低賃金制度とし1000円以上に引き上げてください。
 
② 局長への答申に先立って行われる審議会長への専門部会からの報告に際し、これまで傍聴者にも、その内容が記載されていた報告書が配布されていたのに昨年は配布されませんでした。短い時間で読み上げられても内容の理解はできません。旧来どおり専門部会報告書を傍聴者にも配布してください。
 
③ 長年、要求し続けた審議会での意見陳述が実現され感謝しています。昨年に引き続き、意見陳述の機会を与えてくださることを強く要請するとともに、傍聴者への公開を要請します。
                                   以上

 
(F)