女性の声をキャッチできない労働組合に未来はない / 全労協新聞 2020年12月号

女性の声をキャッチできない労働組合に未来はない / 全労協新聞 2020年12月号

 


 

 

Woman 直言
女性の声をキャッチできない労働組合に未来はない


全国一般全国協議会中央執行委員
ユニオン北九州書記長
末永弘美


 今回、全労協機関紙の原稿を依頼されたが、ほとほと困り果てている。というのは、私には、全国一般全国協議会中央執行委員への熱い思いや意気込みなどは無く、責任が重くなったことについては心に負担を感じているし、いい加減な関わりをするつもりはないが、とにかく本村委員長が世代交代を考えて中執から退くというから、「嫌です」ということも出来す、とにかくなったのだ。

 とはいえ、九州山口地区全体の運動を考えるべき立場になったことは理解しているので、これからは嫌からず、すべての運動に関わろうということは決意している。まだまだ力量不足ではあるけれど。

 ところで、ユニオン北九州は組合員約二〇〇人のうち、女性組合員はわずか一割ほどである。それも、最大分会の臼杵運送に八人の女性組合員がいるので、現役の組合員は十人ほどしかいない。執行委員にいたってはわすか二人にとどまっている。一方、女性労働者の相談は、男性よりも多いかもしれない。問題解決後、ほとんどが消えていくのは男女変わらずであるが、打ち合わせや団体交渉へ向けた準備段階においても、集約がなかなか難しい。

 現在、組合に残って活動している女性組合員は、ほとんどが独身かシングルマザーである。したがって、主たる生計者として働かなければならない。したがって、今の会社で身を護るためにも組合員でいなければならない。という正のスパイラル。一方、連れ合いや家族が反対する、とか、家事・育児等のために時間が取れず、会議や集会等に参加できない人もいる。

 自分語りになるので嫌だが、三〇代の間に二回の解雇を経験した(最後の職場では事業場閉鎖なので正確には三回だが)。それでも、なんとかこれまで生きてこられたのは労働組合に入っていたおかげだと思っている。労働組合は、間違いなく働く人にとっては必要だと思う。必要だと思うが、その中で自分が役職につくのは重責に感じて嫌だった…。

 それでも振り返ってみると、なぜ二五年も組合活動をやれてきたのか?ということを、たまに考える時がある。(組合内の人間関係に恵まれていた、とかツマラナイ話はナシで)

 最大の外的な要因は、自分には子どもが無く、夫は居るがほとんど不在で、なおかつ介護を必要とする家族も現時点ではいない。多くの同世代の女性たちか「やらなければならない」ことがほとんどない。さらに住宅ローン等も無いので最低限の生活費でなんとかなる。介護はこれから必要になるかもしれないが、これまでの人生では、ほぽ自分の自由に動くことか出来た。

 但し、私のような女しか労働組合に残れない、組合活動が続けられない、ということはどういうことか。多くの女性たちの要求や意見をキャッチすることができない、男性の偏った意見しか目に入らないし気づかない。すなわちこの労働組合は未来がない、ということである。

 ここまで書いて「うーーー」と愕然とするけれども、声をあげたいけどあげられない、あるいは立ち上がろうとする女性たちが参加していきやすい活動を作っていくのは、一方で重要な組織化の活動であると思う。幸い(と言えば語弊があるが)コロナの影響で、リモートでの会議や打ち合わせを、多くの労働組合が導入している。わがユニオン北九州にも、少しずつIT革命の波がきているのである。

 これまでのような、夜間や休日に行われる長時間の会議や打ち合わせも、ZOOMやスカイプを使えば自宅で参加することが出来る。ツイッターやSNSも活用すべきなんだろうけど、ああああああ! という感じである。

 とはいえ、日常的な活動に追われて、なかなかそこまで出来ていないのが現状ですが、精いっぱい頑張りたいと思います。